シガーandシュガー

レフト ー恐怖物件ーのシガーandシュガーのネタバレレビュー・内容・結末

レフト ー恐怖物件ー(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

年の差が際立つ、どこかいびつな夫婦が、子供をつれて民泊したら人生が激変してしまったお話。

まずこの年の差夫婦というのがとても上手。ケビン・ベーコン演じる夫の枯れ具合、パサつかせ具合、かつては輝いていたのだろうが今は衰えていると思わせる肉体の見せ方(ファッション含む)がいい。生意気な顔が似合うケビン・ベーコンが演じているからこそ、過去になにかあったんだろうと思わせる。
対して妻の若さ、軽薄さ、画面においての何かしらの存在の薄さが、物語が終わってみると「なるほどな」と唸ってしまう。

そして一人娘のエラちゃん。その破壊的な可愛さに度肝を抜かれて、もしかしてエラちゃんがひどい目に合っちゃうのじゃないかと思ったけれど、とても重要な役回りで、ルックス・話し方・表情、ともに素晴らしい存在感でエラちゃんのおかげで見通せた気もする。

民泊先の不思議な豪邸もよかった。悪魔が作った家らしいけど、モダンでシンプルな箱にして見せ方がうまかった。この家にまつわる村人の噂が怖いので、もっと聞かせてもらいたかったけど、あっさり仕立てがこの作品のカラーなのかも。
村人といえば、村人たちはこの建物に泊まる人間になにか起こるということは知っているのだが、決して助けないという印象。それはもしかしたら、悪魔と契約してるのかもしれないなと妄想(先日見た「ウィリーズワンダーランド」の街みたいに、悪魔と取引している、とか)。
建物の持ち主は悪魔と思って見ていたけど、自分を「鏡」とも言っていたので、いろいろな意味でこの建物にとどまるべき人間に自覚させる存在なんだろうな。それは悪魔とはちょっと違うかもしれないし、もしかしたら自分の良心で、罪をおしかくそうとする自分とせめぎ合っているのかも? だから心に重荷のある主人公だけがこの家の迷路にはまりこむのかも?とも思ったけれど、エラちゃんも迷路にはまってたから、主人公の自責の念が深くて産んでしまった妄想とも片付けられない。第一、村人の不思議な噂もあるし(この噂が本物とは限らない。悪魔と取引した村人が、単に噂として伝えてきているとも考えられる)。などなど、ちょっとあーでもないこーでもないと話してみたい作品。