クシーくん

Winsor McCay, the Famous Cartoonist of the N.Y. Herald and His Moving Comics(原題)のクシーくんのレビュー・感想・評価

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「リトル・ニモ」で有名な漫画家ウィンザー・マッケイが、パラパラ漫画に着目して、世界初のアニメーションを作るよ!と友達に宣言する。酔ってるか、さもなければ狂ってしまったと友人からは笑われながらも、4000枚を書き上げて苦労の末にアニメを作り上げてしまうドキュメンタリー風なお話。ラスト2分ほどは実際にマッケイが書き上げたニモの絵が動き出すアニメーションで終わる。しかもカラー。

マッケイ自身は自らのアニメーションを世界初の画期的な大発明だと信じていたようだが、実際には「愉快な百面相」(1906)のJ・S・ブラックトンや「ファンタスマゴリア」(1908)のエミール・コールがいたので、残念ながら世界初ではない。
しかし、最初期のアニメーション作品から僅か5年足らずでここまで急成長を遂げるのも瞠目する物があるし、何よりマッケイが下書き無しであの可愛らしくも美麗な絵をスイスイと描いていくのは見ているだけで楽しい。セル画をコマ送りで見せるアニメーションとしては本作が実質的なアニメの始祖的存在であり、登場人物が活き活きとした個性を見せる意味では先に挙げた前ニ作とは明らかに一線を画する。
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