まめだいふく

判決/クライム・オブ・ザ・センチュリーのまめだいふくのレビュー・感想・評価

3.0
 完全自己満足でお送りする不定期企画『レビュー0件映画を鑑賞してみた』
 これはFilmarks内で未だレビュー投稿のない作品をあえて鑑賞し、レビューを書いてみようじゃないかという、無謀かつ誰得な企画です。

 とりあえずのルールとして、Markされていても、レビュー欄が空欄だったり、あったとしても「記録」や「過去鑑賞」のような、レビューとは言い難い内容の書き込みもレビュー無しとみなします。

 さて、今回鑑賞した作品は……
 『判決』 LDで鑑賞。
 1996年  アメリカ 実話もの、法廷サスペンス  先客1名様

 1932年、大西洋横断単独無着陸飛行を成し遂げたリンドバーグの子供が誘拐されるという衝撃的な事件が発生。マスコミが騒ぎ立てる中、捜査は難航。結局犯人逮捕には至らず、子供も帰っては来なかった。
 2年後、身代金として使われた紙幣が、とあるガソリンスタンドで使用されたことから、ブルーノ・リチャード・ハウプトマンというドイツ系ユダヤ人移民の男が容疑者として浮かび上がる。警察が彼の家を調べると、同じく身代金として使われた残りの大量の札束が発見される。
 ハウプトマンはそのお金はイシドア・フィッシュという知人が置いて行ったものだと主張。しかし、そのイシドア・フィッシュはドイツで死亡しており、事実確認が取れなくなってしまっていた。
 検察やマスコミはハウプトマンを有罪と決めつけ、一気に窮地に立たされるハウプトマン。一貫して無罪を主張する彼と、彼を信じる妻アンナ、二人の戦いが始まるが、そんな二人に次々と悲劇が襲いかかるのだった。

 「殺人の代償を払うのに 僕が選ばれたのだ」

 数多くある、実話をベースにした法廷ものの中でも、本作はとりわけ憤りを覚えるし、気が重くなる。
 とにかく検察側のやり方が酷い。ハウプトマンを有罪と決めつけ、ありもしない目撃証言や物的証拠を、人を買収したり圧力をかけたり脅迫したりででっちあげる。そしてそれを鵜吞みにし、それが真実であるかのように報道するマスコミ。いやこれは本当に問題作。
 そして、アメリカの英雄と評されているリンドバーグに対する印象も、本作を鑑賞すると変わってしまうであろう。

 ハウプトマンは究極の選択を迫られます。真実に生きて無実の罪で死刑になるか、信念に反する偽りの自白か。
 裁判で問題になるのは普通の真実ではなく、法的真実だと語る弁護士。そんな弁護士に妻のアンナはこう答える。
 「嘘の上塗りはたくさん。法的真実によって夫は自由を奪われたのだから、普通の真実によって解放されなければ」
 正義とは何か、真実とは何かを鋭く問う物語。衝撃的なクライマックスは目を背けてはならない。
 精神的にかなり疲弊する内容だけど、同時に深く考えさせられる良作。

 本作は無名にしておくにはもったいない作品。少しでも多くの人が知っておくべき事件ではないだろうか。

 事件についてはウィキペディアにも載っていますが、これはホントにヤバい事件です。
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