くらげ

ブルース・ブラザース エクステンデッド版のくらげのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

師匠にオススメされ、DVDを借り受け視聴。
ぼんやりとタイトルだけは知っていて、渋めの、バンドのロードムービーかと思っていたんです。
その時までは。
思った以上にカーアクション!
思った以上にミュージカル!
思った以上にクリスチャン映画!(?)

そして何より、思った以上に過激なコント!!
もう手を叩いて笑いましたよ。
ドリフ世代の末っ子としては懐かしい気持ちもたっぷり。
襲撃されるのはノーカウントノーダメージだし、ガソリンスタンドが吹き飛んでも素通り。
それにしても3年放置したコンドームってあんなになるんやな。
所持していたのか、はたまた着用中にお縄になったのか。
跳ね橋をジャンプした時からこれは様子がおかしいな、とは思っていたけれど、やりたい放題の脚本と、その実行力、金と人の使い方よ。

まずは、というか、いきなりジェームス・ブラウン。
説教は一瞬で狂乱の域に。
ここでこの映画の方向性を完全に理解しましたよ。
アホや。

ストリートライブをしてるオッサンは知らんのやけど、メチャメチャ渋い。
ストーリーに絡まず淡々と町の描写として使われている様子だったけど、何やら贅沢過ぎんか?

直後のアレサ・フランクリン、名前が顔だけで思い出せなくて、誰だっけ?この気風の良いお姉さん見たことある…と思っていたら突如再発するミュージカル。
Think が始まった時の気分は最高でしたね。
こういうの観たかった☆って。
劇中の日本語歌詞字幕が途中で終わるんだけど、あれが劇場公開版の名残かな?

レイ楽器店、の文字でキター!!ってなり、チャールズさんの御降臨。
正確にピストル撃つし、減価償却とかガメついわ、キャラが最高なんよ。
何より勿論E-Piano捌きと歌声が至宝。眼福耳福。

ブルース・ブラザースの演奏がやっと聴けるのがカントリー専門店。
ブルース言うてるからヤバい匂いしかしないし、金網はブーイングでも大ウケでも必須なのね。
とは言えサクッと演れるカントリーソングがカッコイイ。
ただ黒スーツが明らかに浮いてるし、本領発揮してないのは目に見えているのでこちらとしてもムズムズ。

前座としてカーティスおじさんが歌うステージ、これこの後に誰も超えられなくない?という最高品質。
「背景やら衣装はイメージです」だったのね。

いよいよ兄弟の本番。
バキバキに巧いとかではないんだけれど、とにかくステージが楽しい。
コメディアン2人の煽り、ダンス、パフォーマンスがカッコイイ。
洋服の青山も驚きの動きやすさ。
キマってるスーツってのは人を自由にするんだなぁ。
この映画の壊れた尺バランスならもう一曲聴きたいよ。
うっかりしていたけれど、バンドのみんなの演奏もカッコイイんじゃ。
Bセクションのいるバンドって良いですよね。

ここで金を集めてエンドロールかしら?と思ったらまだ全然あった。
2人を付け狙う銃火器女は愛憎渦巻くし、とうとうサングラス外してキュルルンしちゃうし。
長尺過ぎるカーチェイスは笑いを超えていよいよハラハラするし。
空き瓶倒さない曲芸とか要らんのよ(笑)
ナチス党の方は今際の際に愛を告白するという最高のイジり。
税務署を取り巻く警察やら軍やら、もう大波乱の極み。
過熱とクールの狭間で「んなアホな」の最絶頂。
スピルバーグ監督、ちんまりしててかわいい。

ラストソングの監獄ロックではステージの It's Never Too Late To Mend が全く皮肉になっていないんだな。
彼らは何も気にしてない。
台風の目なだけ。
自由な2人が勢い付けば周囲は大騒ぎ。
それだけのこと。

148分って書いてあるの見て長くない?と思ったけど、仕方無い。
やりたいことがいっぱいあったんだね。
ぶっ壊されまくる車、最高のミュージシャン達と音楽、当時のアメリカを堪能出来る風景や街並みの数々。
コメディ映画としても最高なんだけれど、様々な資料としても格別。
現代のポリコレ配慮映画が逆立ちしても描けない、リアルな多様性も面白い。
オンオフ、温冷、馬鹿とシリアス、詰まりに詰まった映画でございました。
くらげ

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