延々と歩く

TITANE/チタンの延々と歩くのレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
3.1
 もうムチャクチャだよこの映画…日本版ウィキには「ボディ・ホラー要素を含むドラマ映画」と書いてあり、そこに「信頼できない語り部」キャラクターがふたりもいるからいよいよオカシクなっていく。

 監督のジュリア・デュクルノーは本作によって女性としては二人目のカンヌ映画祭の最高賞・パルムドール受賞者になっている(一人目は「ピアノ・レッスン」のジェーン・カンピオン)。まあ確かにマニア受けしそうなダークで異様な映像美が炸裂していた。あまり詳しくないけどデヴィッド・リンチ当たりの影響かなと思ってたら、監督としてはクローネンバーグ「クラッシュ」が頭にあったらしい。

 ストリッパーまではいかない、ラッパーのミュージックビデオでよく見るセクシーな踊り子くらいの主人公が行き当たりばったりに人を殺して逃走、彼女を行方知れずの息子が帰ってきたと勘違いする(!)消防士の元にころがりこむ。こういうトンデモ異色作を、どう人に勧めたらいいかはさっぱり分からない。個人的にはバキバキとんがったアート映画として話題になってるし、ストリップとかセクシーダンスに弱いという非常に情けない理由でみてしまった。決断力はあるが判断力は無さすぎ・わき甘すぎでもずんずん突き進んでいくのがリアルな「サイコパス」の姿という感じでおもしろかった。所々で爆発する「ボディ・ホラー」要素にもひっくり返る。
延々と歩く

延々と歩く