佐藤克巳

をぢさん/をじさんの佐藤克巳のレビュー・感想・評価

をぢさん/をじさん(1943年製作の映画)
5.0
配給制時代向こう三軒両隣の下町町内会の和気藹々感の絶妙さと、無類の世話好き好親爺工事監督河村黎吉としっかり者の妻飯田蝶子の名人芸の掛け合いが見事な渋谷実、原研吉両監督の人情喜劇の傑作。河村夫婦の恩人で未亡人桑野通子の仲人で弟の結婚話が進行中、名古屋出張で持ち帰った饅頭が原因か桑野の子供が重篤になり、責任を感じた河村が背負って病院に連れて行き、衰弱著しい子供の頼みに得意の御神楽ならぬ馬鹿踊りも泣けて飛び出し神頼み。配給の薪配り坂本武と建具屋の友人が飯田の輸血が成功したと報告、後日、回復した子供と池にヨットを浮かべ上機嫌だった。なお、河村夫婦が喧嘩の最中にハエ取り紙の高峰三枝子、上原謙の写真にお互いうっとりのボケと、河村の馬鹿踊りの絶品さには唸ったが、桑野は前年の不倫相手の出産が原因か脇に回った印象で勿体無い。
佐藤克巳

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