印象派の絵画のような柔らかさと魔法のベールに包まれた、あまりにも美しい映像詩。
夢と伝説のスタジオ・カナダNFBの偉大なアニメーション作家となったジャック・ドルーアンと、活動そのものが世界のアニメ史の一部となってきたチェコの伝説的なアニメーション作家のブジェチスラフ・ポヤルの共同監督作。人形アニメーションとドルーアンのグラフィックス世界を巧みに組み合わせたタッチで綴られる。
真冬の真夜中。ある男が窓の外を見ると、光を放ちながら佇む天使に心奪われ彼女を追いかける。しかし男はすぐに車に撥ねられてしまい、一命を取り留めたものの一時的に盲目となってしまう…。いつもの日常が漆黒に包まれ、彼は手でタッチして空間を把握することしかできない。
彼が暗闇の中で何かを触ったところだけ発光しており、素晴らしい演出が光る。
お湯を沸かしたり、金魚に餌をあげて指に吸い付かせたり、手慣れた日常的動作は一見うまくいっているかのように思えたが、すぐにうまくいかなくなる。
そんな時に必ずあの天使が現れる…。本ショートフィルムのラストシーンは真っすぐな感動で痺れてしまい、捻くれた作品ばかり鑑賞している自分は天使をずっと悪魔だと疑っていた。