きのはる

スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話のきのはるのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

タイトルとサブタイトルとにこやかに笑っている男二人の写真からは考えられないほど深刻な話で、まあ施設は守られたがハッピーエンドではない。ていうかエンドとかない。ずっと続いていく。酷い話だがこれが老人ホームだったら少なくとも十年以内には終わるだろうとある種の目標(?)があってまだ気が楽なのだろう。だけどまだ子供たち、若者たち。先は長い。十年後に全てを治すスペシャルな薬ができることを期待するしかないが、それは十年じゃ足らないかもしれない。二十年後か、三十年後か……。

あの主人公ポジのおじさんがどういうモチベで子供たちに向き合っているのかは最後まで分からなかった。私が見逃していただけなのかもしれない。施設を潰そうとしている(っていうか無許可無資格な施設を摘発しようとしている)役人に「じゃあ全員引き取れよなお前らー!」(意訳)って静かにブチ切れていた時、もしかしたらそれはマジで本心だったのかもしれない。マジで引き取ってもらって全てを終わらせたかったのかもしれない。介護の仕事には望んで就いたが、心身と時間をすり潰してまでやるつもりはなかった、だけどもう後には引けない……って心持ちだったのかもしれない。自宅らしき狭い部屋て呆然としているシーンを見て、そう強く思いました。実際のところは本人しか知らないでしょうが。

新人くんがヘットギアの子を脱走させてしまったところが、一番ハラハラしました。それはもう自分ごとのように。
きのはる

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