町蔵

Hell's Hinges(原題)の町蔵のネタバレレビュー・内容・結末

Hell's Hinges(原題)(1916年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

生演奏付き(ピアノ演奏:鳥飼りょう)
「へルズ・ヒンジス(地獄の曲り角)」
Hell's Hinges 1916/U.S.A./18コマ/61min
製作:NMPC〈KBブランド〉 
配給:トライアングル社 
製作監修:トマス・インス 
監督:チャールズ・スイッカード、
   ウィリアム・S・ハート、クリフォード・スミス
原案・脚本:C・ガードナー・サリヴァン 
撮影:ジョセフ・オーガスト
主演:ウィリアム・S・ハート(ブレーズ・トレーシー)
 クララ・ウィリアムス(フェイス・ヘンリー)、
 ジャック・スタンディング(牧師ロバート・ヘンリー)
 アルフレッド・ホリングスワース(〝シルク〟ミラー)、  
ルイーズ・グラウム(娼婦ドリー)、
ジーン・ハーショルト(バーテン)、
●若い牧師ロバート・ヘンリーは都会の貧民街で牧師になったばかりの母の自慢の息子であった。姉のフェイスも弟と同じく信心深かった。しかしまだ若いロバートには世間知らずの欲望も残っていた。説教の後、老牧師が、ロバートに経験を積むためにも西部に出来る新しい教会への布教活動を薦める。ロバートは旅立つことを決断し姉のフェイスも同行することに。
●西部の荒れた町。そこは〝へルズ・ヒンジス〟=地獄の曲り角と噂される荒野の小さな町である。町は酒場を経営する〝シルク〟ミラーが仕切り娼婦たちもいた。酒場を中心に日々、暴力や決闘騒ぎが起こるような場所である。出入りする拳銃使いの名手ブレーズ・トレーシーは、時には〝シルク〟に頼まれて町の用心棒も務めていた。〝シルク〟の手下テイラーは、この町に牧師がやってくると〝シルク〟に告げる。町には少ないが信心深い信者や女性もいたが彼らにとって常駐の牧師が来ることは念願だった。信者を警戒する〝シルク〟はブレーズにあくまで我々がこの町を仕切っているんだと、釘を刺し、ブレーズも同意する。
が…。
■ハートが監督した2本目の長編「へルズ・ヒンジス」は、インス作品の主要脚本家C・ガードナー・サリヴァンが書き、インスの元〈ドミノ・ブランド〉で演出し始めたチャールズ・スイッカードとクリフォード・スミスが助手に付き、撮影は「哨兵」も担当したジョセフ・H・オーガストである。オーガストは言うまでもなく30年代は「河上の別荘」フォードのなどのから戦後の「ジェニーの肖像」まで、ハート作品からはじまり第1線で活躍した。
■敬虔なヒロイン役のクララ・ウィリアムスは1910年からギルバート・M・〝ブロンコ・ビリー〟アンダーソンらが設立した〈エッサネイ社〉で〝ブロンコ・ビリー〟の相手役を演じた。1912年には〈ルービン社〉に移ってからはエドガー・ジョーンズの主演作など西部劇専門の女優で、13年からはトマス・H・インス傘下のブランド〈ブロンコ〉〈KB〉〈ドミノ〉などの作品に出演。若き牧師のジャック・スタンディングも〈ルービン社〉からキャリアを始めたが、本作の2年後には亡くなった。悪党〝シルク〟ミラー役のアルフレッド・ホリングスワース
は〈ヴァイタグラフ社〉で1911年から映画に出演し上記の監督チャールズ・スイッカードの長編「三銃士」にも出演。カウボーイの一人として後にMGMのスターになりガルボの相手役になるジョン・ギルバートも出演。またバーテンダー役も「グリード」で知られ、後に映画界の人に援助を差し延べる映画救済基金の会長を18年ジーン・ハーショルトである。娼婦ドリーを演じたルイーズ・グラウムは舞台出身で、映画ではこの後、「愛の一念」フレッド・ニブロの「性SEX」など20年代を代表する〝ヴァンプ〟女優として大スタアとなった。
町蔵

町蔵