ヒデ

ペルシャン・レッスン 戦場の教室のヒデのレビュー・感想・評価

4.0
「待て。殺すな。大尉が"ペルシャ人を探せ。褒美を出す"と」

ナチスに捕まったユダヤ人が、ペルシャ人のフリをして、大尉にデタラメなペルシャ語を教えることで生き延びようとする話。

あらすじだけ書くとコミカルなんだけど、話自体はなかなかにヘビー。デタラメな単語を死に物狂いで覚えたことが報われるラストは完全に予想外だった。

厳しい大尉も人情味を見せるシーンが多々あるが、それに対して主人公が一切心を開かなかったのがリアル。「私は殺さない」と言った大尉に対して「同じだ。実行者に食事を与えてる」と言い放ったシーンはハラハラしたけど素晴らしかった。



以下、セリフメモ。



「この世で最も憎むのは嘘つきと泥棒だ。嘘なら後悔するぞ。真実なら幸運に思うだろう」

「お前を調理室に配属する。明日から食事を作れ。毎日終業後、お前の言葉を教えに来い」

「皿は"ルト"…フォークは"カルス"…パンは"ラージ"…スプーンは"バラ"…」

「創作は容易だが、記憶が大変だ。毎日増えていく。膨大な数に」

「"愛している"は?」
「"イル オナイ アウ"です。誰かに恋を?大尉殿」
「いや。まだだ。だがそんな日が来るかもな。なぜ聞く?ありそうにない?」
「いえ、愛は本能です」

「木は"ラージ"です」
「"ラージ"はパンだろ!嘘つきめ!信用したのに欺いたのか!?他のユダヤ人と一緒に私を笑うためか!?」

「あのペルシャ人は採石場は配置転換だ。お前が指導して厳しさをわからせてやれ」

「…"アンタ イル オラ アハン"…」
「なんと呻いてるのですか?
「"母さん、家に帰りたい"と。やはりペルシャ人だな」

(所長の不貞の報告を聞き)「クラウゼ看守。それは復讐心に燃えた報告に聞こえるな。だが職務の履行に感謝する」

「官僚がまた取り違えたようだ。異動するのは君の仲間のようだ。おめでとう。次の列車で前線行きだ」

「ペルシャ人をもう一人捕まえた!仲間に会いたいだろう?」

「20分前は生きていたはずだ!殺った奴を言え!」

「実は兄とは断絶状態だ。私が入党して以来…話をしなくなった」

「なんなら肉の缶詰20個を賭けてお前を守るよ」
「死んだら食べられない。残念だな」

「発話障害の青年のために命を捧げるのか?名もなき集団の一人として死にゆくのだぞ」
「名もなき彼らの方が、あなた方より賢いよ。殺人隊じゃないから」

「コッホ大尉がご命令に背き収容所を去りました。囚人1名を連れて」

「なぜ僕も逃がした?」
「"缶詰を賭けて守る"って、約束しただろ?"良き人生を"」

「ドイツ人かも?捜査の対象だ」
「"私はマルセル・ガロン。レストランを開くために来た"…なぜ分からんのだ!!」

「君がいた間に、その収容所を去っていった囚人の数は?」
「およそ25000人から30000人」

「言える名前の数は…2840人です。2840人の姓と名を暗記しています」
ヒデ

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