Mayo

セイント・フランシスのMayoのレビュー・感想・評価

セイント・フランシス(2019年製作の映画)
4.3
とても素晴らしい作品でした。あぁーこういう作品いままで見たかったぁーという、まさに「私たちの物語」。

生理や不正出血の描写がとても多くて、でも私は全然気にならなかった。むしろ、血が流れることを特別でもなくもちろん隠すこともなく淡々と描いているところが、まさに私たちの生活そのもの。
悩みにも喜びにも、イベントにも日常にも、生理になる生活があるんだよなぁ我々は、と改めて、しっくり来た感じがあった。
(血のついたシーツを見て彼氏と話したりとか、その場にいる男性が自然と絡んでくるのも抵抗なく見れた一因かも)

主人公ブリジット役のケリー・オサリヴァンが脚本も書いていて、グレタ・カーウィグの「レディ・バード」からインスパイアされた作品だというのが謳い文句になっているけどこれは本当にすごい事実だと思う。
34歳のブリジットの女性として生きる等身大の姿はもちろん、ブリジットに娘のフランシスを預けるレズビアンカップルのこともリアルに描く。彼女たちを当事者しか分からないような苦しさで描くのではなく、どんなカップルも直面しがちな産後うつや、ワンオペ育児のあれこれが詰まっていてものすごく共感できた。
最後の方の、ブリジットが彼氏の留守電にメッセージを入れる車の中のシーンがすごく良かったんだけど、アドリブで挑んだというからすごい。脚本家であり主演女優でないとできないことだと思う。「なんで私だけが身体を張らなきゃいけないんだ!」っていう訴えは、まさにその通り。どんなにそばで寄り添っていてくれても、結局やるのは私たちなんだよね。

とはいえ、ブリジットは、ナニーとしてどうなの?!人としてもどうなの?!と思うこともあり、ちょっとモヤっとはする。
でも生意気でありながらめちゃくちゃキュートなフランシスがいることで、緩和されて楽しく見ちゃう。セイント・フランシスってタイトルもお洒落でなるほどなぁって思う。

1シーンしか出てこないブリジットの両親もキャラ濃くて面白かった!
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