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狭霧の國のKUBOのレビュー・感想・評価

狭霧の國(2020年製作の映画)
5.0
今日は素晴らしい映画と出会えた。

佐藤大介監督作品『狭霧の國』。

もう、私の「大好き」が詰め込まれたような作品で、好き過ぎて始終ニヤニヤしながら鑑賞してしまった。

ジャンルは「怪獣映画」ではあるのだが、CGではなく着ぐるみによるアナログ特撮! さらに登場人物は全て「人形」。しかも監督自身の手作りというこだわりよう!

それまで全く知らなかった双子の兄が死んだと聞かされ、故郷に帰ってきた「栄二」は、その村で死んだことになっている盲目の少女に出会う。

霧の中に佇む龍神の如き怪獣「ネブラ」。ネブラと心を通わせる少女「多紀理」。

母はネブラを「神」と呼ぶが、村人は「怪物」と呼び銃を手に取る。

時代は明治となっているが、かつて「神」出あった湖の主が、文明の進歩に伴って畏怖の念が失われ「怪物」に成り下がるのは『もののけ姫』にも通じるテーマ。

35分の短編ではあるのだが、全てのシーンが愛おしい。

栄二が帰ってきた旧家での描写からは、市川崑監督の金田一耕助シリーズへのオマージュも感じられるし、

霧の中に厳かに佇むネブラの勇姿は、これぞ怪獣映画ファン垂涎の「絵」。少し遠い目をした人形たちの芝居は、作品全体のトーンを神秘的な雰囲気に抑える。

監督の佐藤大介さんは、あの金子修介の ”GMK”=『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』の制作にも関わった筋金入りの特撮マン。これからもアナログ特撮を大事にしていきたいとおっしゃっていた。

今日この傑作と出会わせてくれた「みらい館大明ブックカフェ」さんに感謝。

11月にはBlu-rayの発売が決定していると言う『狭霧の國』。全ての特撮ファン、怪獣映画ファンに見てほしい傑作だ!

*評価は大好きメーターが振り切れたので星5つです。
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