Boss2054

シネマ歌舞伎 三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たちのBoss2054のレビュー・感想・評価

4.7
2020年。シネマ歌舞伎。

原作、みなもと太郎。
脚本・演出、三谷幸喜。
キャスト、松本幸四郎、市川猿之助、片岡愛之助、松本白鸚他。

本来この題材は赤毛ものト呼ばれて新劇が得意とする出し物だったのではないだろうか?
今だったら、小劇場系の役者さんたちが演じた方がしっくりくる気がする。
が、敢えて、歌舞伎表現にするコトで、
新劇表現に於ける赤毛ものの違和感が払拭されている気がする。
さらに、小劇場系のお芝居にも馴染みの深い、幸四郎さんや猿之助さん愛之助さんらが出演しているコトで、歌舞伎を観劇するト云うコトの敷居の高さを低く、
つまり、観やすくしてくれている気がする。
公演当時、チケットは完売だった筈だ。

昔、ラジオで、猿之助さんが、
歌舞伎の定義について語っているのを偶然聴いたコトがある。
曰く、歌舞伎役者が演じたら全部歌舞伎です。ト。
まさにその通りだと思う。
ワンピースだって、ナウシカだって、歌舞伎だった。
要は歌舞伎役者が歌舞伎表現を用いて演じたら、それは、歌舞伎ト云うコトなのだろう。
なので、コレも実に歌舞伎だった。
そのデンで行くと、今、一番表現手段として可能性があるのは歌舞伎のような気がする。
まあ、さすがに現代物や近未来ものは抵抗があるかも知れないが、
抵抗があるだけで、可能性がないワケではない。
ルパン三世だって、宇宙戦艦ヤマトだってありかも知れない。
少なくともワタシは観にゆく。

そんなワケで、一般的な表現の違和感を歌舞伎ト云う表現で取り払い、
物語の本質や役の心情が見事に表現されたこの作品は素晴らしかった。
幸四郎さんも愛之助さんも素晴らしかったが、
猿之助さんの演技にはとにかく感動した。
猿之助さんはもともと巧い役者だとは思っていたが、
こんなに巧いとは思わなかった。
再演時、舞台で観られたらトセツに願う。
拍手👏👏👏
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