よーぴ

逃げた女のよーぴのレビュー・感想・評価

逃げた女(2019年製作の映画)
4.1
演出的にはロメールに近いものを感じた。こういう映画を見ていると、「人間は何を見て“面白い”と感じるのだろう」と疑問が湧く。勿論、この映画は面白いのだけれど、人は映画のどこを見て“面白さ”を体験するのか。ホンサンスは、役者に現場当日台本を渡して演じてもらうという。役者は一人の人間をそこに存在させる仕事だ。だとすれば、実際の人間の人生には台本などないのだから、役者もキャラクターがどんな感情の起伏を経てラストに辿り着くのかは知らなくても良いということになる。ただ目の前にあるセリフ、相手の表情、自分が陥った状況に感応して、内側に巻き起こる感情を受け取る。これがリアルな人間の在り方であり、この映画やロメールの映画はそれを実践しているように思える。人は画面に宿る人間の在り方の「迫真性」に対して“面白さ”を見つけるのではないか。
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