みゆ

スケボーが私を変える アフガニスタン 少女たちの挑戦のみゆのレビュー・感想・評価

3.9
2021.04.29(106)
NHK BS1 録画・字幕


アフガニスタンでスケボーと教育を楽しむ少女たちが置かれた背景を描いたドキュメンタリー。

2020年アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞を受賞した作品と知り、録画しておいたのを鑑賞。

タリバン政権による影響により、アフガニスタンでは12歳までの少女たちは教育を受けられずに路上で働かねばならず、また13歳以上の女の子たちは危険だからと家から出してもらえない。

NPOが運営するある女子校では、そんな環境の女の子たちに教育を受けさせ、給食も与え、スケボーの授業も受けさせる。アフガニスタンではスケボーは男の子らしさを象徴するスポーツで、それを少女たちに会得させることで、抑圧された暮らしから解放させることを目的としている。

少女の母親たちは、娘たちが教育を受けられることを歓迎しているが、父親たちへの取材場面が無かったのは、つまりは男尊女卑がまだまだまかり通っている証であろう。

少女たちは誘拐に遭わない為に、きちんとバスで送迎される。少女たちが誘拐を含む犯罪に巻き込まれるのは、ちっとも特別なことではないのだ。そして男の子よりも女の子が誘拐された方が、その家のプライドを損なうものらしい。

サラッと撮っていたがドキッとした場面があった。登校してきた少女たちは、校内に入る前に先生から身体検査(服の上から撫でて確認する)を受ける。一瞬疑問を抱いたが、すぐに「自爆テロ要員として爆弾をくくりつけられていないかの確認だ」と気づいた。タリバン政権による恐怖の爪痕はまだまだ現役なのだと感じた。

タリバン政権は女性たちにブルカを強いた。それは大人の女性が自宅玄関を開けて牛乳を取る時でさえ強制されたという。

少女たちの姿を見ていて感じたのは、教育やスケボーにより、自信をつけ未来を夢見る力強さと、同時に宗教を強く信じるアンバランスさだ。宗教は己自身で決めて信仰する分には問題ないが、それが当たり前とされ自分では選べない環境は、日本人の私からするとまだまだ解放からは遠いところにいるように感じられた。

だが一気に問題は解決しない。少なくとも未来の自分を夢見ることが出来る。今はそれが大事なことなのだろう。
みゆ

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