社会のダストダス

アシスタントの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

アシスタント(2019年製作の映画)
3.7
ハラスメント職場体験VR映画。平日(月曜に観た)の仕事終わりに観る映画としては完全に選択を誤った気がするが、観る前に想像していたほど精神を抉られる内容という訳でもなかった。そして思ったのは、この映画を観て感じるものが多い人はきっと心が健康で大丈夫な人だと、つまり俺はやばい。日本人の99.8%は自尊心を殺して仕事をしているので、ささる人が多いのではないでしょうか。

ジェーンのとある1日を追った、訓練された社畜にとってはある種の日常系映画。野心家にとってはこの場所は悪夢だが、上昇志向の無い人間にとってはそこそこのぬるま湯でむしろ居心地がいいのではないかという気がした。ただし、電話でのみ登場する会長はかなりクソだったので、あのネタを手に入れたときは社内の人事課ではなく、相手が映画界の大物なら、マスコミにでもタレこんだほうが良かった。あれ?それが『She Said』になるのか。

私は日々働かないで生きていくことを夢見ているので、その視点から見るとそんなに悪い職場じゃない。日がな一日雑用をしているだけの映画だったけど、それでも10年同じ職場で働いている私よりも、ジェーンのほうが所得は多そうだ。無難な謝罪文を一瞬で考えてくれる同僚二人とは適切な距離感で付き合っていくといいと思う、この二人は個人的には好感度高かった。

ジェーンを取り巻く環境(しくみ)に毒されている人間の感想でした。ストーリーやらエンタメやらの映画的リズムを放り投げているような作品ともいえるし、むしろタイムループ物のように同じ瞬間を繰り返しているような気分にもなる。休みの日の明るい時間にこれ観てたら鬱になってたかもしれないので、むしろ平日の夜に観て正解だったのかもしれない。

映画製作会社という舞台設定だけど、エレベーターで一緒になるだけの登場のパトリック・ウィルソンは一応本人役とかなのかな。