ヒデ

ファーザーのヒデのレビュー・感想・評価

ファーザー(2020年製作の映画)
3.8
「ここはあなたのフラットじゃない。あなたはウチに来たんです。そして新しい介護人を待っている間、ずっとウチにいるんです」

"認知症側"の視点で描かれるヒューマンドラマ。

家にいきなり見知らぬ人がいたり、自分の家だと思っていた場所が他人の家だったり、知ってる人の顔が別人になっていたり、全く見覚えのない顔の男が何度も現れたり、同じ1日を繰り返していたり…。認知症側の世界はこんなにも恐ろしいのかと思い知らされる。異世界と悪夢の混在するような世界的。

認知症患者のアントニー・ホプキンスを取り巻く家族の環境も地獄そのもので、彼らの視点が少しずつ入っているのも面白かった。


以下、セリフメモ。


「私、引っ越さなくては。ロンドンから他所へ」

「もう面倒見られない。今までのように毎日はね。(新しくできた恋人は)パリに住んでる人よ。だから私も行く」

「私の理解が正しければ、お前も私の下から去るわけか」

「あんたは誰だ?ここで何してる?」
「アンソニー・ポールです。ここに住んでる。10年になります」

「この茶番は何だ?アンはどこにいる?」
「何言ってるの。私がアンよ」

「下の娘のルーシーに似ている。意味もなく愚かに笑うところとかな」

「私はフラットを離れるつもりはない!誰であろうと失せやがれ」

「さっき、戻った私をみて分からなかった。他人を見る目だったの」

「なぜかアンとは気が合わん。下の娘のルーシーは素晴らしかったのに。だが仕方ない。彼女は画家で、世界を旅しているらしい。私のことをこう呼んでくれた。"リトル・ダディ"と」

「僕たちはイタリア旅行を計画してた。でもキャンセル。なぜだと?あなたがアンジェラとモメたからだ。あなたを一人にできず、旅行はキャンセルして、ウチに連れてきた。そしてあなたはこのまま居座る気らしい」

「君は驚くほどルーシーに似ている」
「ご事情は伺いました。事故のこと…。お気の毒に」

「お父さん、やっぱりこの施設の方がいいわよ。これからはロンドンで暮らすの。私も休暇や週末には会いにくるから」

「誰なママを呼んでくれ。ここから出たい…」

「すべての葉を失っていくようだ…。何が何だか分からない…。何が起きてるんだ?もう身を横たえる場所もわからない」

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