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マーベルズのhasisiのネタバレレビュー・内容・結末

マーベルズ(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

監督は、ニア・ダコスタ。
脚本は監督と、ミーガン・マクドネル。エリッサ・カラシク。
2023年に公開されたスーパーヒーロー映画です。
※アラスジを最後まで。その後に感想を。⚠️

【主な登場人物】🛩️🧑🏿‍✈️
[キャロル]キャプテン・マーベル。
[グース]猫(フラーケン)
[ダー・ベン]ヴィラン。
[ドロージ]スクラルの皇帝。
[ニック・フューリー]元長官。
[マリア・ランボー]モニカの母(故人)
[モニカ・ランボー]エージェント。
[ヤン]アラドナの王子。

🖌️カーン家。
[アーミル]兄。
[カマラ]ミズ・マーベル。
[ムニーバ]母。
[ユスフ]父。

【概要からアラスジへ】🛰️👩🏿‍🚀
『キャプテン・マーベル』の続編で、MCUの33作目。フェーズ5に分類されます。

ダコスタ監督は、1989年生まれ。ニューヨーク出身の女性。
長編映画は3作目。
スーパーヒーロー映画では初の黒人女性監督です。
1作目、2018年の『ヘヴィ・ドライヴ』から好評で、翌年には始動した企画なので、ここまで長かった。
2作目の『キャンディマン』が、ホラーでは10選に入れるほど好きな映画なので、期待値が高すぎたかも。

🪢〈序盤〉🏡🦸🏼‍♀️
2026年。惑星ハラ。
クリー帝国の新司令官であるダー・ベンは、銀河に浮かぶ小惑星MB418の遺跡から太古の装身具である金属製のバングル(量子バンド)を掘り起こした。左上腕に填めて、超人的なる力を手にするが、対のはずのもう片方が見当たらない。

地球。米国、東部大西洋岸にあるニュージャージー州。湾岸都市、ジャージー・シティ。
祖母から譲り受けた魔法のバングル(量子バンド)で、宇宙エネルギーを覚醒させたミズ・マーベルこと、カマラ・カーンは自宅の子供部屋で同人誌を描いている。
紙上のムスリムの少女は、スーパーヒーロー活動中。憧れのキャプテン・マーベルと出会い、名前を模した本人に「双子(ツイン)ね」と認知され、アベンジャーズを紹介される。

キャプテン・マーベルことキャロル・ダンバースは、ネコ型宇宙生物のグースと共に、宇宙船フープティでの航行中に睡眠。頭部に装着したカチューシャのようなスクラルの拷問器具を使って危険な挑戦。かつての親友や、クリー帝国に介入したいまわしい記憶をフラッシュバックさせる。
地球の衛星軌道上に浮かぶドーナツ型の宇宙ステーション。航空宇宙防衛システムS.A.B.E.R.(セイバー)の本部に到着。旧友であるニック・フューリーと再会をはたした。
ニックの報告によれば、数時間前にジャンプ・ポイント(ジャンプ点)に電力異常を感知。MB418に原因があるらしい。

キャロルの親友だったマリアの忘れ形見、モニカも成人。創設者である母の意思を継ぎ、S.A.B.E.R.でエージェントとして働いている。
過去にマキシモフ事件の捜査に参加。魔女の結界(ヘックス障壁)を何度も通過した影響で肉体が変化。電磁スペクトラム内のあらゆるエネルギーを制御できる超人に覚醒していた。

キャロルは、バングルが発見された小惑星MB418に到着。開いたままの異常なジャンプ点を発見する。モニカが地球側のジャンプ点に触れると、3人の力が共鳴。カマラはモニカの宇宙服の中に。キャロルはカマラの子供部屋に。モニカはMB418へと場所が入れ替わった。

毅然としたキャロルが、戸惑うカーン家族に挨拶したのち、玄関を出て力を使用すると、モニカと再びスイッチ。クリー兵との戦闘状態に。
宇宙船フープティに戻り、司令官ダー・ベン(スプリマー)が向かったタルナックスⅣへと飛んだ。
フープティの光学迷彩で姿を隠し、クリーの巨大な母船の中へと侵入する。

緑豊かな惑星タルナックスⅣ。
スクラル人難民が暮らすコロニーでは、ダー・ベンが代表のドロージ皇帝と会談。太陽が死にかけた惑星ハラを救うため、長年の敵対関係を忘れて手を合わせようと和平交渉。ハラへの移住を推奨する。

クリー船内で見回りと遭遇したキャロルは戦闘に。パンチを繰り出すと、カマラとスイッチ。フラーケンであるグースが触手で兵士を取り込んで事なきをえる。次の攻撃をハードライト(HL)のシールドで防ぐと、モニカとスイッチ。
ネコ型のグースを連れて自宅に戻ったカマラ。グースが口から2人のクリー兵を吐き出すから家族はパニックに。
宇宙ステーションのキャロルが力を使うと、カマラの自宅に到着。キャロルを「殺戮者」とののしるクリー兵を投げ捨てるから屋根を突き破った。
3人は場所を入れ替えながら敵を討伐してゆく。

クリー船のキャロルは、ダー・ベンたちの会話を盗み聞き。
「ユニバーサル・ウェポン(UW)でジャンプ点をつくると、バングルが片方しかないため、不安定になる」と原因を把握。
本来、バングルは2つで1つ。宇宙を高速移動するためにつくられた伝説の宝具である。
宇宙ステーションのモニカは「3人が量子もつれによって接続されている」と断定。
「3人のうちのいずれかが同時に光エネルギーを使用すると、場所が入れ替わる」と仮説を立てた。

ニックとモニカがカーン家を来訪。カマラに、光エネルギーを使う3人が偶然繋がってしまった事について説明。のんきなカマラがHLを披露するとキャロルとスイッチ。
モニカは母の親友だった、キャロル小母さんとの再会を果たした。
挨拶を終えて、キャロルがクリー船に戻ろうとして飛行すると、空中でカマラとスイッチ。飛べないカマラを助けようとモニカが空中でキャッチ。地上に衝突する寸前のHLで再びスイッチ。クリー船に飛ばされた2人は、ダー・ベンたちに捕獲されてしまう。

カマラは、ダー・ベンが身に着けているバングルに驚愕。敵の会話から、彼女が捜しているものが、自分が左腕に装備しているバングルだと気づいて、シャツの袖でそっと隠した。
キャロルが飛行で参上。
ダー・ベンは創造と破壊の戦鎚UWを振るい、光ビームはバングルで吸収して戦う。だが、部下が大量にいても、実質3対1。空へと回避する。飛べないカマラを抱いてキャロルとモニカが後を追う。

スクラル人難民のコロニーに到着。ダー・ベンは「和平協定に来たのに、殺戮者をかしかけた」とガチ切れ。上空にヘックス状のジャンプ点の穴を開いて撤退した。
コロニーに竜巻が発生し、彼らの宇宙船が穴に吸い込まれてゆく。
崩壊してゆく石造りの都市から人々を助けてゆく3人。
キャロルは、全員助けようとするカマラを難民共々、愛機フープティに押し込んだ。助けを求める多くの人々を残し、崩壊してゆくコロニーから脱出。
その後。キャロルは、虹の橋ビフレストで現れたニュー・アスガルドの国王、ヴァルキリーに難民を任せた。

🪢〈中盤〉💃🕺
惑星ハラ、クリー帝国の都市。朽ちかけた太陽によって永遠の闇に覆われている。
上空に浮かぶジャンプ点により、タルナックスⅣから大気が供給。酸素マスクを外すクリー人たち。
青い肌のヒューマノイドが暮らすハラは、かつては豊かな星だった。超化学文明が発展し、独裁政治を行うクリー帝国によって収められていた。
だが、キャプテン・マーベルことキャロルが内政干渉し、独裁者である”スプリーム・インテリジェンス(思考の知性)”を破壊。国に一時の解放をもたらしたのだが、ハラは内戦状態へ突入。30年にわたる騒乱の歴史を刻む事となる。

キャロルの宇宙船フープティ。モニカは「すぐに戻る」と言ったまま、まったく地球に顔を見せなかったキャロル小母さんを責めた。
一方でカマラは憧れの人に会えてメロメロ。「1人で寂しいなら高校もやめて手伝う」と完全服従。
キャプテン・マーベルとミズ・マーベルのツインは、本人の公認に。

3人のチーム名が「マーベルズ」に決定。バングルの事情を説明するカマラ。キャロルたちも状況を把握。
カマラはバングルに彫られた言葉「求めればやってくる」を紹介した。
全てのジャンプ点がバングルによって構築され、ネットワークで繋がっている仕組みを理解した。
ダー・ベンがUWで片方のバングルに過負荷をかけて“不安定なジャンプ点”をつくり続けている。宇宙の崩壊を防ぐのが次のミッションだとモニカが説明した。

3人でソファーに寝そべり、スクラルの拷問器具を使って互いの記憶をたどる。
・バングルにはエネルギーを吸収して放出する機能がある。
・クリー船のモニターの座標から、つぎの目的地がマゼラン運河だと判明するが。
同時に、モニカがデシメーションで消えていた5年の間に母をガンで亡くし、ひとりぼっちだった記憶も流入。
カマラの呼びかけで3人はハグした。

ダー・ベンがタルナックスⅣにジャンプ点を構築した理由について。
天然資源を吸い込み、枯渇したハラを蘇らせるためでは? と仮説を立てる。
マゼラン運河でつぎの侵略地として考えられるのは、水の星アラドナの可能性が高い。

3人は決戦に備えてスイッチの練習。ジャグリングとダブルダッチで呼吸を合わせる。
かけ声もタイミングもばっちりで、阿吽の呼吸へ。

宇宙船フープティは、惑星アラドナに到着。99.63%が海に覆われた青い星だ。船は無事にポートに着陸した。
日差しが照りつける石造りの街で陽気な人々が歌でお出迎え。
白壁の城に移動。実はキャロルはアラドナの王女で、ヤン王子が外泊の多い妻の帰還を歌とダンスで祝う。
ダー・ベンの侵略に備え、3人に新しいスーツが提供された。

一方、カーン家も避難している宇宙ステーションでは、謎のピンクの卵を30個発見。フューリーが猫型グースの肥満を気にしている。

🪢〈終盤〉🐈🥚
アラドナの晴れわたる上空に、巨大なクリー船を中心とした帝国の艦隊が襲来。いくつもの戦闘機が発進し、司令官の小型船が港街に着陸した。
ヤン王子が、ダー・ベン一行に応対。服従を命令されるから、丁寧に断った。
ダー・ベンがビームを放って宣戦布告。
カマラはヤンと共に乱戦に参加。キャロルとモニカが、後方に下がったダー・ベンを追いかける。

先に追いついたモニカが船の甲板でダー・ベンとタイマンに。UWの一撃を腕でガードし、組みついてバングルを抜き取ろうとするが、びくともしない。
キャロルがスイッチして力比べ。モニカが飛び蹴りで吹き飛ばす。
カマラがHLを使って、キャロルとスイッチ。ダー・ベンに、捜していたバングルの所持者だと知られてしまう。
カマラが足場を作って避難。スイッチしたキャロルが弾丸タックルからマウントパンチ。ダー・ベンが上を取り返し、さらにパワーで持ち上げてチョークスラム。バックに回ってチョークスリーパーに。
首締めから脱出しようともがくキャロルの光エネルギーをバングルがみるみる吸収してゆく。
力を増大させたダー・ベンのパンチの一撃で遥か遠く。キャロルは城壁まで吹き飛ばされてダウン。

怒りのモニカが突撃するが、UWとバングルの交錯によるビッグインパクト。衝撃波は宇宙まで広がった。空にひびが入ったようにジャンプ点が構築され、S.A.B.E.R.の宇宙ステーションがシステムダウン。
脱出ポッドが使用不可能に。
アラドナの海水が逆流する滝のように空中の巨大な穴に吸い上げられてゆく。水は惑星ハラの枯渇した海だった場所へと降り注ぐ。

カマラとモニカは宇宙船フープティで出発。キャロルは空を飛びまわり、いくつも戦闘機を落としてから合流。誘導ミサイルに追われ、たまらずカマラがフープティをジャンプさせた。
地球の草原に着陸。モニカはアラドナを見捨てたと自暴自棄。クリー帝国で自由のために戦い、事態を悪化させた忌まわしい過去を吐露した。
「私は殺戮者。こんな姿を見せたくなかった」
信頼してくれなかった小母に、モニカは愕然とした。
「家族は無敵のヒーローなんて求めてない。貴方のままでいいのよ」
親友の娘に諭され、キャロルは自嘲的に笑った。

一方、宇宙ステーションでは辛うじて残った10人乗りの脱出ポッド1機に対し、隊員が350人で、フューリーは頭を抱える。
消火活動中、倉庫に隠れていたグースを発見。ピンクの卵を産み落としたのが彼女だと分かる。次々と子猫型のフラーケンが羽化。
救助にきたマーベルズも合流。逃げまどう隊員たちをグースの子供たちに吸い込ませてゆく。
数十匹の猫を脱出ポットに搭乗。
クリー船の動きをコンピュータで調べていたモニカが、彼らのつぎの狙いが銀河系の太陽だと気づいた。

マーベルズがクリー船の指令室に到着。キャロルがダー・ベンの相手をしているうちに、モニカがバックをとって奇襲。UWの強奪に成功。3対1で殴り合いに。
ダー・ベンはバングルでビームを吸収しながら孤軍奮闘するが、カマラを片手でネック・ハンギング・ツリーした隙にキャロルが取り押さえ、モニカがUWをハンマースロー。戦鎚がボディに直撃。吹き飛んだダー・ベンは壁に激突。崩落した天井が仰向けの体に落下。破片が脇腹に突き刺さった。

動けないダー・ベンは万事休す。モニカの提案で、キャロルの力で惑星ハラの太陽を蘇らせると約束。苦しむダー・ベンと和解へ。
分厚い天井の重しをどかしてやると、ダー・ベンが裏切ってカマラを人質に。ついにバングルが両方揃ってしまう。
宇宙に飛び立ったダー・ベンは、3人の説得も聞かずにバングルを使用。だが、継承者の資格を持たないため、エネルギーの流入に耐え切れずに消滅。
別宇宙に繋がる裂け目を構築してしまう。
バングルの所持者が消滅したことで、3人を結びつけていた量子もつれも消滅。スイッチの呪いは解除された。

継承者であるカマラがバングルを両腕に装着。キャロルと共に光エネルギーを放出し。受け取ったモニカは満ち溢れるエネルギー体と化して宇宙へ。
巨大な裂け目に向かい、両手からいくつものフォトンビームを照射。蜘蛛の糸のように宇宙の欠片に吸着させ、時空の亀裂を繋ぎ合わせてゆく。
無事に宇宙の修復には成功したものの、代償としてモニカは次元の向こう側へ。

地球に戻ったカマラは家族と再会。
キャロルは惑星ハラに出向き、体内にやどるテッセラクト(スペース・ストーン)の無限のエネルギーによって太陽を復活。闇に包まれていた地上に朝日が昇った。
カマラ一家とキャロルは、壊れた自宅を後に、ルイジアナ州ニューオーリンズへ。ランボー家が暮らしていた白い木造の一軒家に引っ越した。
モニカがいつか戻る日を信じて。

ニューヨーク、夜のダウンタウン。カマラは、ケイト・ビショップ(ホークアイの後継者)の自宅を訪れてスカウト。ヤング・アベンジャーズを集めはじめる。

[ミッド・クレジット]🥼
どこかのパラレルユニバースの病院。医療用ベッドで目を覚ましたモニカは、別宇宙の母、バイナリーと出会った。状況を理解する暇もなく、青いふさふさの体毛を持つミュータントの科学者、ハンク・マッコイ(ビースト)を紹介される。
「混乱は知識への旅の第一歩だ」


【映画を振り返って】🪐🔨
クリー人の中に青い肌以外が混じっているのは、混血です。

キャラ交代。
格ゲーのタッグバトルのスイッチを取り入れたようなシステム。
(おい~っ、Nintendo Switchのせいで、キャラをスイッチするの、スイッチが文章で使いにくくなったわ~)
カプコンとはコラボしていたので、ファンは胸熱。
交代した後のキャラはどこにいるのか? がギャグ+アクションに。

円熟期に分けのわからないシステムを搭載して複雑化。ファンが離れてジャンルが終了。
は、分かりやすいロジックだが、実際はマンネリ化が原因なので、テコ入れしようがしまいが、ジャンルは必ず死ぬ運命にある。

パンチは交代でビームはOK。足場はOKで盾は交代??
「光エネルギーにチャネリングすると場所が入れ替わる」と説明されても、字幕だと意味がわからない。
一応、ミステリー要素ではある。ただ、画面上の光のもやもやの効果について思案する、は謎として漠然としている。
「マルチバースは分かりにくい」の苦情を逆手。情報の渋滞を加速させて、パニックを楽しむ構成にするとは驚かされた。

ただ、憧れの人と繋がってツインなのに、トリオって謎のシステムもちょっとのりにくい。

👥量子バンドの真相に鳥肌。
ファンが崇拝している憧れの有名人と出会う、引き寄せの法則!
(めっちゃ夢ある)
とは言え、実際に憧れの人が家を訪ねてきたら、緊張して上手く喋れないだろなぁ。
カマラのキャラともぴったり合っているし。いまファンタジーを描くのであれば、これしかない、という説得力があった。

触れると入れ替わる。決して、交わることのない呪い。(なんか深い)
……まあ、実際にアイドルと街で出会ったら、マナーは守る。無銭で接客させるのは、推しに負担をかけるのでよくないと思う。
(現実に引き戻されたわ)

分隊の面白さがない。
3人固まって行動し、横並びの絵が多い。
入れ替わる、ということは繋がっているので、別れて冒険してもすぐに戻されてしまう。「同時進行で忙しい」や「Aでスイッチを入れてBで突破する」のような、分担作業のない映画。

夢の競演。
宇宙ステーションでの戦いでは、カマラがディフェンダーで、ニック・フューリーがハンドガンで攻撃する胸熱展開。
MCUならではのクロスオーバー。
カマラは視聴者の代表。2人とも能力が低めに設定されているので、ハラハラして楽しめる。

😺グース。
気まぐれで猫らしさがアップ。過去作だと犬のように活躍していたので、いい変更点。
かぎりなくトラブルメーカーに。
戦闘に対して積極的だと能力が強すぎるので、これぐらいの下方修正が丁度いい。

フラーケンの体内に人員を収納する。
衝撃波一発で、脱出ポットを無力される人類のテクノロジーの進歩とは。
「可愛くて怖い猫」のようなすでに擦られている小ネタに時間を使うのは、ホラー好きな女性監督ならでは。

トロッコ問題。
キャロルの「全員は助けられない」の、はっきりした選択で、見捨てられるスクラル人の集落。どよんとした重い空気に。
子供向けで、これだけ割り切って描く場面も珍しい。
一応、その後に惑星ハラを救う、で課題をクリアしているのだが、とくに台詞の流れもないので、サブクエストのようで、もやっとした後味だった。

不安な表情を浮かべたキャロルに興奮。
たとえば、大谷翔平や藤井聡太のようなスターにプライベートで相談される場面を連想させ、母性本能がくすぐられた。

🤹‍♀️中盤の物足りなさ。
“場所入れ替え”の研究とトレーニングは映像のみ。ロジックを組み立てる、スキルの応用を考える面白さはないが。
ブリーフィングが長いので、メリハリをつけるにはいい流れ。
ボクシング映画のトレーニングシーンのようなものだろう。

ミュージカルの星。
『バービー』も同じだけど、女性監督はコメディでミュージカルやりがち。
最終決戦前の準備を明るく描いて個性的ではある。
ただ、細かいアイデアに欠けるので大味。当然だが、ミュージカル素人監督なので、専門の監督と比べると見劣りする。
そもそも、「歌わないと喋れない」ではなく、「感情が高ぶると思わず歌いだす」にしないと、ぼけにくい。
女の子の夢を形にする方向性は正しいのだろうけど、楽しさが伝わってくる、って程ではなかった。

🌌終盤も物足りない。
独自システムを導入したけど、消化できないままサービス終了するって、新作ゲームそのもの。映画だとアップデートもできないので「なんだったんだ」
結局、アイデアを発表した序盤が一番面白い、という絶望的な状況に。

王子様とお姫様のミュージカルや、猫の可愛さ押しに興味がない男の子目線だと、
序盤から終盤まで逃げる場面が延々とつづくドタバタばかりで退屈。
正直、アイデアの集積体の主張が強すぎて、縦軸である「キャプテン・マーベルが過去と向かい合い、惑星ハラに太陽を取り戻す」がぼやけていた。

衣装や猫の可愛さを楽しむ萌え映画として入り、繰り返し視聴すると物語が深堀されてゆく、と捉えるのが丸いだろう。

👩🏿ダコスタ監督。
スイッチや、ミュージカルの星、のような設定を考えるのが好きなのかな?
『キャンディマン』だと都市伝説の歴史が魅力的だったし。
深みに関しては、キャプテン・マーベルの過去を、世界の警察だった頃のアメリカによる紛争国への介入になぞらえてあるのだろうけど。
物語の性質上、最近のトレンドである“不可侵”が選択できないので「けっきょく力でねじ伏せるのね」と、冷めた目線に。

どうしてスーパーヒーローものとしての魅力に欠けるのか? に関しては「キャライベが弱い」の一言で終了。
単に、わたしとは趣味が合わないだけかもしれないけど。現状を見る限りは、MCUと相性が悪いように感じた。
(エターナルズに通じるものがある)
前2作で見せてくれた他の追従を許さないほどの独創性と比べると、監督だと言われなければ気づかないレベルだった。

MCU最低興行収入を叩きだしてしまった本作。もう1度チャレンジするのか、このままチームを離れるのかは分からないけど。
苦い経験も、今後の監督人生に活きてくるのは間違いない。
秀でた才能の持ち主である事には変わりないので、次回作である戯曲『ヘッダ・ガーブレル』の映画化を楽しみに待ちたい。
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