ドント

マーベルズのドントのレビュー・感想・評価

マーベルズ(2023年製作の映画)
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 2023年。なやましい。「まぁこんなもんだよね!」と「こんなもんでいいの?」の板挟みな映画であった。三人のスーパーヒロインがあるパワーに関わって居場所がガチャガチャ入れ替わっちゃう大混乱事態が発生。折しも星々を簒奪する奴らが暴れはじめたため、急造チームが「やめんかコラァ!」と止めに銀河をカッ飛ばす。
 最近つとに勢いが失われつつあると言われるマーベル映画で、そんな中で男不在(フューリーはいる)の三人組ヒロインチーム映画となれば、これはもう一発逆転の面白さと、エンパワメント・啓蒙的な面でもパワフルな女大活躍作品を期待するのは当然と思える。しかしこの映画、何というか、普通である。女ふたりに少女ひとりが、ギクシャクや葛藤などありながらも力を合わせて、理由はあれどもやっちゃいけないことをやっているよくない奴を止めようとファイトする。そういうヒロインチーム大活躍映画である。
 まぁよくある感じのSFアクションであり、無難な仕上がりと言うか、それなりに仕立て上げられた作品であって、特に言うことはない。「簒奪されとる星を放置してトラウマ開闢はあかんやろ」とか「そこはサーッ、スーッと復活させちゃっていいのか……」とか思ったけれどまぁそのくらいの欠点はどんな映画にもある。三人の関係性も楽しく、「文化だから!」と押し切るミュージカル惑星の強引さや世にも恐ろしい宇宙ステーション脱出の無茶さなどいっそ好ましい。こんなもんだよね! となる。
 が、しかし。「こんなもんでいいの?」という気持ちもベッタリ貼りついて離れない。これだけ美味しそうな素材(役者やキャラ)を出しといて、それなりに、特に言うことはない、くらいの出来映えで果たしてよろしいかと問われれば簡単に首肯などできようはずもない。序盤の「なんだかわからねーが入れ替わって大変!」な楽しさこそよかったものの、それ以降はどうにも理屈ばかり映画がなかなかハネない。主役三人のドラマやワチャワチャとか、入れ替わりアクションとかもっと美味しくなるはずが、全国チェーン店の味付けみたくなっている。不味くはない。無難すぎるのである。
 そんなわけでまぁ悩ましいですね。ゼニのかかっている最近の大作映画で110分を切るくらいの長さの時(つまり不自然に短い)はちょっとよろしくない出来のことが多い、という自説を持っておりまして、本作もそれが証明された形となります。面白くなくはないけれど、すげぇ面白いかと問われるとウゥン、ってなる。まぁブリー・ラーソンがかっこよかったからいいんだけど……でもパク・ソジュンはもっと戦ってほしかったね……ふまんがあるね……
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