takanoひねもすのたり

The Life and Death of a Porno Gang(英題)のtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

3.7
ユーゴスラビア〜セルビア社会主義共和国大統領スロボダン・ミロシェヴィッチのセルビア支配の末期時代、マルコ (ミハイロ・ヨヴァノヴィッチ) は映画学生。
長編映画を作りたい!→AV映画監督の仕事がきた!→出来上がったブツが奇抜すぎて怒られる→くそぅ!自分でメンバー探して凄いものを撮ったる!
ところが抗議行動が活発化し町は暴徒だらけ、取り敢えず町から脱出だと、マルコは友人や彼女、募集したメンバーを集め「ポルノギャング」を結成。
バンで移動しながら野外エロイベントを興行。 
村人達にはウケたが、しかしやっぱりお金がねぇ!
そんな時に怪しげなオファーがくる。
「スナッフフィルムを撮影せんかね?金は出すし、殺す人間も手配する」


セルビアの社会情勢が薄っすら影を落としている、エロゲロインモラル作品。

マルコの制作したAVというのが、何処が抜きどころなんだよ!というプロデューサーのお怒りもご尤もなシロモノで(個人的には笑えたけどもwww)それにへそ曲げたマルコが仲間を募集してバンで旅に出た辺りから、キチガ○度が増してくる。

乱交パーティはまだノーマル、そのうち、激怒した村人達から"アナがあれば犯す!"て事態になりメンバー全員が輪姦されるハメに……村人の親父達……見境ないな……本当に穴があれば男だろうが女だろうが構わない。
やられている最中にひとりが笑いだし、みんなが笑い出す場面がカオス+狂気の渦。

ぷちカオスが形成される中、受けた仕事はやってもらおうとばかりに、スナッフフィルム出演志願者がやってくる。

スナッフフィルムなので当然殺人を行う訳ですが、これの直前のインタビューがいたたまれない。政権の影が落ちている。
若者から中年、家族までとあらゆる年齢層の志願者が現れ、殺害し、フィルムに収めてゆくマルコ達。

よくよく観ればゴアい場面はあまりなく、あっても極ライト。
どちらかと言うと、ドラマ部分に比重を置いてあり、ストーリーはそれなりに荒はあるものの悪く無い。

段々と死に取り憑かれメンタルがおかしくなってゆく仲間達、その中でマルコは映画制作の情熱を持ち続けてゆけるのか、死にたい人間とはいえ殺人フィルムを撮影することへの嫌悪感とお金欲しさの葛藤とか、忘却のための逃げ場としての乱交とか、もうカオスです、カオス。

物悲しい結末も良い。
これ好き。