もりりた

MINAMATAーミナマターのもりりたのレビュー・感想・評価

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)
3.5
ユージンがアイリーンから撮影要請を受けたのは熊本の水俣。チッソ社が流した有害物質で中毒被害を受けた人々を目の当たりに、心を痛めながら記録写真を撮るユージン。しかし裏で快く思わない人々が彼の活動を妨害しようとしていた。

風景も言葉もしっかり昔の現地設定で、ありがちなズレた日本観なく話に集中出来る!方言と英語が交わる会話の間合いも自然。異国の写真家が少しづつ馴染んでいく様子が伝わってきた。権力を振りかざし汚い手も躊躇ない会社に無情な扱いを受ける人々。ユージンも例外ではなく建屋の火事やデモ中の暴力にも繋がってやり過ぎだろ!時代背景の違いがあるとはいえ、被害者側にとっては命懸けの相当に辛い戦いだったんだろうな…

憎まれ口を叩き気怠そうな最初の印象が変わっていくユージン。気難しいおじさんと思いきやアイリーンに対しては強気に出られない人間味。一方でチッソとの取引に聞く耳を持たない正義感、1枚に魂を込めることを約束するプロ意識まで。そんな誠実さがアウェーの状況を変え、写真を撮りたい思いに人々が賛同し、歴史を変える虎の子ネガに繋がったんだなと!子供嫌いといいつつ上手くあやす姿も良いギャップでした!

最後に世界の公害問題の紹介があり、写真だけでその悲惨さが!突如人生を変えられた上、国も絡んで揉み消される現実が恐ろし過ぎる…
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