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リーディング・ハウスのYOKのレビュー・感想・評価

リーディング・ハウス(2017年製作の映画)
3.8
ちょっと男子~!ここは女性だけの読書クラブなのに何入ってきちゃってるの!?センセー!男子が出ていってくれませーん!な映画。(大嘘)

ところでこの作品、予告がホラーテイストだったけどちっともホラーじゃないのでこれから見る人はホラーやグロやゴアを期待しないでみた方がいい。ほんのりミステリーなだけ。


■ファビュラスなあらすじ
なんちゃら夫人が主催の読書クラブは男子禁制なんだけど、参加者の女性が「彼こそが今宵最高のラブリーKB」と思う男性を同伴で連れてくる。実はこの会合、誰が最もラブリーな男性を連れてこれるかを競うものだったのだ。そして招かれた男性は二度と帰ってこなかった…。果たしてこの会合の真の目的とは!?


※ネタバレあり


あらすじと予告を観て「観たい!」と思っていた作品。主人公のソフィー、確かに歳はとってるけど普通に綺麗じゃんか。ソフィー、会で勝つことにこだわるわりにはイケてるメンズを探すのに消極的で向いていないのでは?って思わせる。それでも参加し続けるのには、何かしら理由があるんだろうし…とそれを楽しみに観た。

予告がめちゃくちゃホラー仕立てだったのでホラーだと思って見始めたら全然違うでやんの。ヒューマンドラマにほんのひとつまみ以下のホラー要素を含ませたって感じ。

ソフィーは所属する読書クラブで殿堂入りを果たすためにあと1つトロフィーが欲しい状態。でももう5年もトロフィーが取れていない上、友人のハナ(同読書クラブの清掃係)がいなくなったせいで次にイケてるメンズを連れて来れなかったら清掃係にされちゃう崖っぷち状態。

そんな中勤めている図書館にイケメンが現れる。若い同僚よりも自分に興味を示すメンを次回の会合に連れていこうと試みるけど、愛情をわかせてしまって…って、どこがホラー???(混乱)

って言うか、普通にソフィーに興味津々で近付いてくるヨセフが最初から怪しかったのだけど、思っていた以上の展開を見せてくれた。えー!上司お前かよー!!!ヨセフが予想外に正義感に溢れているのと有能すぎた。

全体的に作りがちゃっちいのは否めない。特に読書クラブの男性を捕えるための装置(椅子)。こんなんロック様やシュワちゃんだったら、ガン!で腕輪ぶっ壊してバン!で首元のうっすい拘束具ぶっ壊せるぞ?

読書クラブの催しが行われる部屋や建物にのあらゆる壁に色んな画家の「ホロフェルネスの首を持つユーディット」が飾られているのが印象的だった。だいぶ男性嫌いな会合なんだけど、なんでそこまで憎むのかは謎のまま終わった。

ラストは急展開というか突然のアクション。そんな?ってぐらいの大爆発オチ。ドリフ…?

正直、なぜこの読書クラブが設立されたかとか、会員の女性たちの素性はだとか、だからなんでそんな男を憎むん?とか謎は沢山残った。殺された男性はおそらくソーセージになったんだなってのは分かったけど。

え、ってかなんで日本版予告ホラーテイストにした?ミスリードどころか詐欺だが?こういうの本当に規制して欲しい…ちゃんと映画の内容が勘違いされないプロモーションをしてくれ。

ラストは多分ハッピーエンド。最後に愛は勝つ!的な歌を流したら、うんそうだね…ってなりそうな雰囲気だった。(違う)

詳しく調べたところどうやらホロコーストを暗に匂わせた作品らしい。
男性の顔の骨格を器具で測るのはナチスがユダヤ人か否の判別のために使用した判定法と同じ。ハナを探すためにソフィーを責め立て監視する手法は秘密警察と同じ。質屋で装飾品を売って逃走のための金を作る方法は迫害から逃れるユダヤ人が行ったそれと同じ、とのこと。え、こわ…っ。

そういうのを知らずに見るか知っている状態で見るかでも評価がだいぶ割れそう。だとしても日本のホラーですよ詐欺予告はクソだが。

なんや、監督の失恋から着想を得て作ったってのもあるらしいけど、どんだけ激しい失恋をしたら「せや!ホロコーストも絡めてイケてるメンズを殺す映画作ったろ!」ってなるのか、発想がすごすぎて脱帽。

個人的には嫌いではない。
ただ、これから見る人はホラーと思って見ない方が絶対にいいし楽しめると思う。
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