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プロミシング・ヤング・ウーマンのYYamadaのレビュー・感想・評価

4.0
【スリラー映画のススメ】
◆作品名:
プロミシング・ヤング・ウーマン
(2020)
◆映倫区分 / 日本 : PG-12
◆スリラーの要素
 人生を棒に振った壮大な復讐劇
◆本作のポジショニング
 サスペンス ■□□□□ ホラー
 
〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・ごく平凡な生活を送っているかに見える女性キャシー。
・実はとてつもなく切れ者でクレバーな彼女には、周囲の知らないもうひとつの顔があり、夜ごと外出する謎めいた行動の裏には、ある目的があった…。

〈見処〉
①私も彼女も「前途有望」の筈だった—
 予想を裏切る復讐エンターテイメント
・『プロミシング・ヤング・ウーマン』は2020年に製作されたスリラー映画。『スーサイド・スクワッ』で知られる女優マーゴット・ロビーが製作を務めている。
・Netflixオリジナルドラマ『ザ・クラウン』でチャールズ皇太子の妻カミラ夫人役を演じ、テレビシリーズ「キリング・イヴ Killing Eve」では製作総指揮や脚本を担当するなど、俳優・クリエイターとして幅広く活躍するエメラルド・フェネルが、自身のオリジナル脚本でメガホンをとった長編映画監督デビュー作。
・明るい未来を約束された若い女性(=プロミシング・ヤング・ウーマン)が、ある事件によって未来を不意に奪われたことに復讐を企てる姿が描かれた本作は、批評家から絶賛され、2021年・第93回アカデミー賞では、作品・監督・主演女優など5部門にノミネートされ、脚本賞を受賞した。
・主演は『華麗なるギャツビー』のキャリー・マリガン。

②価値観の対立構図
・「強姦事件のその後」が描かれる本作では「直接加害者」のみならず、「女性間の同調圧力」や「男性間の贖罪なき傍観」に対しても復讐対象としており、単なる「男女間の社会格差」のみを対立構図としていない。
・異性の視点から、本作を鑑賞すると多層的な感想を得られる作品となっている。

③結び…本作の見処は?
ダーク・コメディと思いきや、鑑賞者も試されている奥深き作品。
◎: 男女間の重厚なテーマをポップでテンポの良い演出で見せる本作であるが、予想の斜め上をいく終盤の怒涛の展開は、アカデミー脚本賞に相応しい作品。
◎: 章だてで描かれる「4つの復讐劇」は、純粋な勧善懲悪とはいえないもの。主人公キャシーの交際相手ライアンの視点にて本作を鑑賞してみた場合、その感想が「贖罪」「とばっちり」のどちらに振れるかで、ご自身の潜在的ポジショニングも把握出来る。
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