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プロミシング・ヤング・ウーマンのkuuのレビュー・感想・評価

4.0
『プロミシング・ヤング・ウーマン』原題Promising Young Woman.
映倫区分PG12.
製作年2020年。上映時間113分。

タイトルは、2016年に性的暴行で有罪判決を受けたスタンフォード大学の学生、ブロック・ターナーのことがらから来てるそうです。
裁判官は、彼を "有望な若者 "であるとして、わずか6カ月の禁固刑を宣告した。

男の毒牙とそのトラウマが被害者女性に与える深刻な影響に、ダークなユーモアで挑んだ性的復讐ファンタジー。

どちらもハマったネトフリのシリーズ『ザ・クラウン』でチャールズ皇太子の妻カミラ夫人役を演じ、TVシリーズ『キリング・イヴ 』では製作総指揮や脚本を担当したエメラルド・フェネルが、自身のオリジナル脚本でメガホンをとった長編映画監督デビュー作。
主人公キャシーをキャリー・マリガンが演じ、攻める女優マーゴット・ロビーが製作を務めているし、今作品のキャシーのオフェンシブパワーはどことなくハーレイ・クインのキャラとも重なるかな。

ごく平凡な生活を送っているかに見える女性キャシー。
実はとてつもなく切れ者でクレバーな彼女には、周囲の知らないもうひとつの顔があり、夜ごと外出する謎めいた行動の裏には、ある目的があった。
明るい未来を約束された若い女性
=プロミシング・ヤング・ウーマン
だと誰もが信じていた主人公キャシーが、ある不可解な事件によって約束された未来をふいに奪われたことから、復讐を企てる姿を描く。。。

同意のないセックスはレイプである。
酒やドラッグで酔っている女子は、同意を与えることができない。
こないなスローモーションの交通事故のような話しは見聞きする。
今作品は、必然的に『Me Too』運動のこの側面の申し子とみなされるやろうし、それは当然かな。
そして、個人的にではありますが、今作品が佳いと感じたなら、この問題を強調する上で、ポジティブな効果をもたらすことは必至です。
このような経験をしたことのある女子たち(そしてその多くはポリスに相談したことがないであろう)は、おそらくこの映画を見て、これ以上トラウマを植えつけられたくはないとおもいます。
だから視聴は呉々も注意して欲しいと老婆心ながら思います。
また、最初の5分で、これは自分には合わないと気持ち悪く感じたとしても、それに耐える価値がある作品やと思います(絶対とまでは請け合えませんが気分を害されたらやめる方が無難かな)。
すべてセンス良く仕上がってたし、今作品の優れている理由のひとつは、
エメラルド・フェンネルにある。
彼女はなんちゅう才能の持ち主なんやろ。
演技やと、『ザ・クラウン』のサラ・ファーガソン役、
そして、クレジットされていないカメオとして、本作の『フェラチオメイク』ビデオブログの女性役を演じていました。
脚本家としては、本作と『キリング・イブ』シリーズ2の脚本でBAFTAの賞を受賞したそうで個人的にハマったシリーズです。
そして今、彼女は監督として、この素晴らしい監督デビュー作を世に送り出した。
今作品では、キャッシー(キャリー・マリガン)が、バーで弱い立場の女性に性的な自己主張をする略奪的な男たちに戦いを挑む。
しかし、ある人物の名前を耳にしたことから、彼女はまったく新しい次元に踏み込み、非常に個人的なものとなっていく。
キャリーはどこまで過ちを正すことができるのか。
マルチな才能を持つエメラルド・フェンネルが描く、驚くほど夢中になれる物語でした。
映画の脚本で、プロットがどの方向に進むのか全く分からないというのは珍しいことやったし、いくつかのひねりは(ネタバレなしで)、その実行においてまさにヒッチコック的やと云っても過言じゃないかな。
そして、フェンネルは、息を呑むような『ハリウッドの結末』を見事に嘲笑しているかのよう。
演出も見事で、観る者を一瞬たりとも飽きさせない(映画はわずか113分と長すぎない)。
観てる側の知性を尊重した " ショー・アンド・テル(英語: show and tell)"(聴衆に対して、何事かを示すプロセスであり、その話題について話すことである)のアプローチ。
(酒席のあと何があったんか、ビデオに映っていたのは誰の声やったのか等々)
章立ての使い方もクエンティン・タランティーノを彷彿とさせる巧みなものを感じた。
そして、なんて云ってもキャリー・マリガンはまさに圧巻の演技。
また、タランティーノを彷彿とさせるのは、アンソニー・ウィリスによる素晴らしい音楽の使用もあると思います。
バブルガム調(ポップスの一種。南アフリカが発祥とされているジャンル)の曲(例えばパリス・ヒルトンの曲など)もあるが、かなり "ぶっ飛んだ "選曲もある。
例えば、"Pearl's Dream" は1955年の映画 『狩人の夜-The Night of the Hunter』から引用されたものやそうです。
この曲は、物語の中でキャシーが経験する衝撃的な事実を反映しており、心にしみるような印象を与えてました。 ヘアメイク、衣装、撮影、編集すべてハマった作品でした。
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