ぽん

仔鹿物語のぽんのレビュー・感想・評価

仔鹿物語(1946年製作の映画)
3.9
原作はピューリッツァー賞を受賞しているんだとか。

時代は19世紀末くらいでしょうか、フロリダの奥地で原始林を開拓して暮らしている一家の物語。
演技派女優ジェーン・ワイマンが母親役なのですが、終始しかめっ面の不機嫌オーラ全開で11歳の息子にキツくあたるお母さん。けっこう感じ悪い。
理由があってのネガティブなので仕方ないかとも思うけど、夫がグレゴリー・ペックなんですよ?
私だったらテーブルの向こうにグレゴリー・ペックがいて自分の手料理食べてくれてたら笑いが止まらないと思う。
でも、鬼嫁の顔色窺ってキョドってる、みたいなちょっと情けないペックも悪くなかったです。

「大草原の小さな家」のような世界観で、生活の一つひとつが現代では考えられないような苦労の連続です。隣人(と言ってもたぶん何キロも離れてる)との付き合い方も仲いいんだか悪いんだかよく分からない。ざっくばらんで遠慮もないし、抜け目なく欺いたり気にくわない出来事があれば嫌がらせも・・・っていうカオスぶり。
まぁ大らかと言っていいのかな、取っ組み合いのケンカも男どもにとっては“娯楽”で、地域全体が大きな家族みたいな感覚なんでしょうかね。

メインの物語は息子と鹿ちゃんの交流と別れ。(この鹿ちゃんがめちゃくちゃ可愛い!)ペットとして飼っていた子鹿が成長して一家の畑を荒らすようになり・・・って「あらいぐまラスカル」みたいな流れです。
そう言えばジョディ少年のビジュアルが「ラスカル」のスターリングにそっくりなのは、アニメの方がこの作品を参照しているんじゃないでしょうか。

人生は楽じゃないけど、だからこそ意味があると教えてくれる、よい物語でした。
グレゴリー・ペックがちょいちょい説教臭いこと言うけどアンタになら言われたいよと思ってしまう。
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