せーじ

スタートアップ!のせーじのレビュー・感想・評価

スタートアップ!(2019年製作の映画)
3.8
320本目。
例によって、アマプラで観れる映画を漁っていたところ、見つけてしまいましたよ・・・満面の笑みで中華鍋を振り上げながら、ヘンな髪形でヘンな色のシャツをお召しになられているマ・ドンソク氏を。これはもう抗えません。ということでルーレットリストに追加。そして1回で選ばれてしまいました。
どんな映画なのか、戦々恐々としながら再生、そして鑑賞。




…ま、まおも?(ⓒmarrikuriさん)
コッテコテな内容でしたけど、エンタメ性が高く、午後ローとか、木曜洋画劇場とかで楽しみたくなるような作品でしたね。

■マブリーのクセの強さと出し惜しみ
といっても、実質的な主人公は緑色のスクーターに腰かけている金髪の彼で、彼はお母さんとケンカした挙句に家出をするのですが、家出をした先でマブリー氏と出会うのですよね。明らかに只者ではないオーラが出まくっているのですが、目を開けたまま寝たり、TWICEが大好きでテレビの前で踊ったりとか、とにかくクセが強くて変なんです。「あ、じゃあこの金髪の彼がピンチになったらドッカンドッカンやってくれるのかな?」と思ったのですけど、これがまたなかなかやってくれないのですよね。この勿体ぶり方がとても面白くて、いつ大暴れを見せてくれるんだろうなとワクワクしながら観てしまいました。一方、マブリー氏以外ですごいなと思ったのは、赤髪の彼女でした。とにかく戦闘能力が女の子にしては無茶苦茶高くて、金髪の彼を一撃でのしちゃったりするんです。パンチが鋭い!
物語としては、金髪の彼と赤髪の彼女の他に、金髪の彼の友達の黒髪の彼も加わって、それぞれがそれぞれの人としての生き方を模索するような話になっていきます。それをマブリー氏や店のオーナーなどの大人たちが見守るような構図ですね。若者組は三人とも若干の差があるとはいえ、底辺環境で生きている状況なのですが、ノリとしてはとても明るく、観やすい内容だったと思います。
それと、画面構成だったり、伏線の張り方だったり、画の見せ方はかなりきちんとしていました。ゆる~い内容の映画ですけど、映像の作り方までゆるくはないのですよね。その辺りはちゃんとしているなと思います。(スローモーションビンタはやり過ぎだと思いましたが)

ただなぁ…

■終盤のストーリー処理について
終盤の展開は、細かい要素がそれぞれの登場人物に加わるのにかかわらず、さばき切れていない部分があって勿体なかったです。もう少し構造をシンプルにしちゃって「黒髪の彼が働いている組織」と「赤髪の彼女を狙っていた組織」と「マブリー氏が所属していた組織とその組織と対立している組織」を整理した方が良かったのではないかなと思いますね。で、大ピンチになったところをマブリー氏大暴れでスカッと解決!とした方が面白かったのではないかなと思います。ただ、それだと金髪の彼が成長したことにもなりにくいし、難しい所なのですかね。
あと、エンディングは金髪の彼が「帰る」ところまできちんと映すべきだったと思います。まぁたぶん、二ケツした行先はあの店なのだとは思いますが。
それとやっぱり思うのが、マブリー氏の暴れっぷりがもっと観たかったなぁという所ですかね。でも、TWICEを踊ったり、変な顔で睨んできたり、目を開けたまま眠ってたくだりは無茶苦茶面白かったので、それはそれでそういう意味では「大暴れ」していたのかもしれません。

※※

ということで、ゆる~く楽しむのがおすすめな一作だと思います。
それ以上でもそれ以下でもないかな。。。残念ながら。
ただ、こういうコメディが先に立つような映画でも、映画としての表現をサボっていない部分は良いなと思います。
興味がある方はぜひ。
せーじ

せーじ