きのはる

ミッドナイト・ファミリーのきのはるのレビュー・感想・評価

ミッドナイト・ファミリー(2019年製作の映画)
4.5
メキシコシティでは人口に対して公営の救急車がめっちゃ少ない。そのため民間の救急車が勝手に活動している。料金の取り立ては運営者が自ら行わねばならない。怪我している人に怪我している時に取り立てるわけにもいかないので病院に運んで(その間応急手当ては行って)から請求する。だけどそいつが無一文のこともあるし、普通に支払いを拒否される場合もある。そもそも無許可で運営しているので強制的に取り立てるわけにもいかない。家計は火の車。
一家の長男らしき子は十七やそこらなのに医療行為をして運転して偉いなあと思いました。それだけの技術があるならもっとちゃんとした別のところで働けねえのかと思うけど、メキシコにはメキシコの事情があるのだろう。知らんけど。
ぽっちゃり体型の弟くん、ファストフードや安いお菓子ばかり食べてるからそんなにふっくらしているのかしら。金持ちはスリムで、貧乏人はデブという定説を体現しているかのような見た目。
お父さんは服薬治療しているらしい。
あとなんかもう一人いた気がするけど、あいつの立ち位置はよく分からない。
ドキュメンタリーのように淡々と物事が進み賄賂を要求する嫌な警官が登場しても、患者が死んでも、あまり劇的な感じで怒りや悲しみが表明されないところがストレスなく見れた。患者の顔をほとんど写さないところもドキュメンタリーっぽかった。モザイクが付いているわけではなくて、角度とかピントでなんとなくこちらに注目させないようにしている。
患者も、警官も、交通標識や信号のように過ぎ去るだけの物体である。ただ日々を生きていくために働き、金を稼ぎ、陰鬱なことをやり過ごす。それが現代。
きのはる

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