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エルヴィスのtoriten45のレビュー・感想・評価

エルヴィス(2022年製作の映画)
3.5
その男がいなければビートルズもローリング・ストーンズも誕生していなかった…。それほどの影響力があったレジェンド、エルヴィス・プレスリーの伝記映画です。ロックを主流に変えた人は“史上最も成功したソロ・アーティスト”としてギネス認定もされているのだそう。

この作品を観るまで“エルヴィス”=“レジェンド”以上…でした。そんな理解度で観たので、“キング・オブ・ロックンロール”と呼ばれるように至った背景を知ることができてよかったです。

とりわけ世界的なスター誕生の瞬間を描いたような冒頭シーンが好き。それはステージに立ったピンク色スーツの派手派手なヤセっちょ青年が、スーパーヒーローへとトランスフォームした瞬間。うぶな女子たちが、初めて目にする色気に戸惑いながらも徐々に奇声を上げていく連鎖が、新しい文化の幕開けをストレートに表現されてると思いました。ちょっと笑えちゃう…。

そしてエルヴィスご本人がライブで披露した「アンチェインド・メロディ」のシーンもちょっとショッキングでかなり感動的でした。カンヌ国際映画祭で史上最長となる12分間のスタンディングオベーションが起きたのも、このシーンあってのことなんだろうなーって想像しています。

そのエルヴィス・プレスリーに完璧になりきって歌とダンスを披露した、オースティン・バトラーの迫真の演技も素晴らしかったですね。ロケンロールを存分に堪能できたかな。

そして、もう一人の主役がパーカー大佐。これが一番観たかった。悪徳と言われていたエルヴィスの専属マネジャーについてもっと知りたいと思ったのがそもそもの鑑賞のきっかけでしたので。…うーん古だぬきだなー。凄腕の興行師でもあるパーカー大佐のたぬき親父っぷりをトム・ハンクスが安定の演技で見せてくれていました。持ちつ持たれつの関係はわかるけどムカムカ。

この作品はエルヴィスに加えてパーカー大佐の二人を軸に描くことで、他の伝記モノとは一線を画す見応えのある作品に仕上がっていたと思います。

本作品の鑑賞を機に、今度はエルヴィスの元妻目線で描かれたソフィア・コッポラ監督の『プリシラ』('23)を観たいと思いました。ソフィア・コッポラはファンなので楽しみ。
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