ドント

アントマン&ワスプ:クアントマニアのドントのレビュー・感想・評価

3.5
 2023年。宇宙を救ったヒーローとして自伝本まで出して調子こいてるアントマンことスコットは、社会活動でつっ走り気味の娘にハラハラしつつ悠々自適な毎日を送っていた。ところがどっこい娘の作ったマシンで家族三世代がスッポリ量子世界へ吸い込まれる。カオスと言われていたそこには実は、独自の世界・文明・人々が暮らしており、さらには……
 マーベル映画ではいわば傍流、アイスを売っていたオッチャンが頑張る、という小さな世界を描いていたアントマンが、小さいのは小さいが無限に広がる世界へと突入、スターウォーズめいた異世界と異世界人に振り回されながらなんだかすごいことになっちゃうシリーズ3本目。展開もだいたいスターウォーズ。
 人助けをしたい娘と身の丈に合った感じでやっていきたいスコットがいきなり冗談の通じないヤバい大悪漢の計画に巻き込まれ、人助けとか身の丈とか言ってられなくなるスケールなのだけれど、世界は広がりなんか戦争的なことになるにもかかわらずあくまで小さなお話に感じが好ましく思えた。逆に言うと無責任に場の流れでそういう感じになっていくのだが、スコットの性根は善でありまたその「無責任」ぶりがたぶん後の火種となる様子なのでまぁよしとしたい。
 今回の敵(であり、今後の敵のボス)の巨大さ、虚無感、無尽蔵の背景に対してアントマン側が最終的には小ささ、実存感、俺たちはここにいるという強さで結びついているあたりもよかった。映像が一部やたらめったらと暗くて何がなんやらわからない所があったり、今までのレギュラーメンバーがいなかったり、もうちょいスマートにやれたんじゃないかと感じる部分もあれど、概して楽天的で明るく楽しい雰囲気で、悪くない映画だったと思う。あの人が巨大顔面となって再登板してくる箇所は常にニコニコしてしまった。なお「アマゾネス」を絵に描いたようなあの人はケイティ・オブライアンと言います(豆知識)
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