ヒデ

ミッドナイトスワンのヒデのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

「好きでアンタ預かるんじゃないんだからね!田舎に余計なこと言ったら殺すから」

トランスジェンダーのショーパブダンサーが育児放棄に遭った女子中学生を預かる話。彼女は口の悪い問題児で凪沙(草彅剛)のいうことを全く聞かず、そしてバレエダンサーになりたいという純粋な夢を持っていた──。

最初はしぶしぶ一果を迎え入れた凪沙だったが、一果との交流を経て初めて"母性"を知る。差別と絶望の中にあった人生に生まれた、初めての生き甲斐。一果のためにジンジャーハニーソテーを作り、バレエの資金のために身売りを決意し、挙句タイで性転換もして、必死に"母親"になろうと奔走する。一果の信頼は勝ち取るも、様々な障壁に阻まれ、彼女は約束通り広島に戻ることに。凪沙の報われない愛が胸に刺さる。

個人的に印象的だったのは、初めての風俗勤務で客を拒絶してしまうシーン、友人の屋上バレエ&飛び降りシーン、視力を失い股間から血と膿が止まらなくなってしまった凪沙との壮絶な再会シーン、海辺の一果のバレエシーン、海外コンクールでの一果の見事な舞いと、凪沙との思い出のフラッシュバック。海辺のシーンは音楽も久石譲っぽくて好きだったな。元々草彅くんは好きだったけど、今回の作品でさらに好きになった。一果役の子もこれで新人は信じられないくらいの圧倒的な存在感。(実際新人賞総ナメにしてた)

TSだからって『らんま1/2』読ませるのはなんか違うよな…とそこだけモヤモヤしたけど、それ以外はめちゃクオリティの高い作品だった。凪沙が海で死んでしまうシーンは切ないけど、一果が羽ばたいていく様を見届けることができて本望だったのかなとも思う。


以下、セリフメモ。


「ちゃんと掃除しといてって言ったでしょう」
「ヤじゃ」

「一果ちゃん随分癖あるね。どこで(バレエ)習ってたの?」

「わたし怖い?私は気持ち悪い?あんたなんかに一生わからない。なんで私だけ…」

「一果、明日のバイト個撮にした方がいいと思うよ。コンクールとかお金かかるし」

「この子にバレエを続けさせてください。一果ちゃんは素晴らしい才能を持ってます。私、育てたいんです」

(一果に対してりんが)「ねぇ、キスしていい?」

(面接で)「今ね、流行ってますよねLGBT。僕も勉強してますよ、大変ですよね」

「オデットですか?素晴らしい踊りだ!お嬢様方!でも、朝がくれば白鳥に戻ってしまう、何とも悲しい…」

「店長の言った通りよ。人生は一度落ち始めると止まらない。それでもいいの?」

「あれ?新人だって聞いたんですけど。うわ、超ラッキー!あれ?下ついてんですよね?」

「なんでうちらだけこんなひどい目に遭わなきゃいけないの!?」

「一果。帰りましょう。あなたはこんなところにいちゃダメ」

「健二ぃ〜。お願いだから病院行って治して〜」

「一果。私ね。女になったからお母さんにもなれるのよ。一果のお母さんになれるの」

「今日随分遅いわね…。早くオムツ替えてちょうだい」

「ヤダ…恥ずかしい…こんな格好…」
「ごめんなさい…」

「私…女になったの…いいけど…サボったらこんなんなっちゃった…」

「私、外国のバレエ学校に行くことになった。奨学金取れたの」

(海で)「ねぇ…踊って…」

(コンクールの舞台に立つ直前に)「見てて」
ヒデ

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