えびちゃん

カモン カモンのえびちゃんのレビュー・感想・評価

カモン カモン(2021年製作の映画)
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点数をつけて、いいとか悪いとか評価するような作品ではないなと思った。
マイク・ミルズ監督の作品は題材を変えながらもずっとこの"相手の声を聞こう、自分の気持ちを素直に言葉にしよう、寄り添いあおう"というような主題を取り扱っていて、正直そこまでさらけ出さなくていいよ、観ていて辛くなるよと思ったりもして(でもだいすき)。
みんながみんな「良い」と思う作品ではないかもしれないけど、だれかの心に引っかかればいいし、それは今ではなくていつかでいいのかもしれない。飛んできた花粉のような作品で、ぱっと受粉して芽が出る人もいれば、何度も季節が変わってようやく発芽するかもしれないし、機会は幾度となく巡ってきたのに永遠に結び合わない人もいるかもしれない。
私もいつかこの作品のピースがゆるやかに心の隙間にはまって溶けていくのかもしれないし、そうではないかもしれない。でも彼らの過ごした時間と自分の記憶と重ね合わせたり、他者に寄り添えない心の狭さと対峙したり、気持ちをちゃんと伝えようとしない弱さと付き合いながら生きていくなかで、心のどこかにお守りのように残り続けていく気がする。
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