MMM

花束みたいな恋をしたのMMMのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

「出会いと別れで穿たれる心の穴がある。」

触れて、なぞって、突っ込んで、その穴の大きさがわかる。その深さがわかる。その形がわかる。

折に触れ、痛み苦しみ、嬉しさ喜び、僕らに心があることを、僕らが生きてきたことを実感させてくれる穴がある。
誰かや何かで、ぽっかり空いた心の穴だ。

この世はいつだって、始まれば終わり、終われば始まる。
それが自然の摂理で、人は生きていると言うこともできれば、ゆっくり死んでいるとも言える。
人生のもっとも重要な部分は命の起結ではなく、その承転にあって、承転の中にある幾度も繰り返す様々な始まりと終わりにある。

だから、あまり悲観しなくても大丈夫だよ。
始まりがあるから終りがあるんだ〜って悲しまなくていい。
くっついて離れて、離れてくっつくこともあるのが人生だ。
生命尽きるその一瞬まで全ては過程で、全ての可能性が存在している。

麦と絹のように、運命的なはじまりが、最高の終わりをもたらさないこともある。
でも、その終わりが始まりになって、最高の終わりをもたらすこともあるんだ。

麦と絹も始まって終わった。
けれど、また始まるかもしれない。
僕らは生きている限り変わっていく生き物だから、始まりと終わりも常に変わっていく。
それが人生だ。

いちばん大切なことは、心を揺り動かしてくれる人生のひと時が確かにあったこと。
心に穴が空くような、花束みたいな恋をした。
その事実が何より大切だ。
MMM

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