ヴェラ・ヒティロヴァ監督作品…
『ひなぎく』がとてもお気に入りなので…2作品目鑑賞です…。
ジャケ写に期待が膨らみ…サイケな冒頭シーンに釘付け…。
アダムとイヴの裸体に透ける鮮やかな色彩の草花…彼等の体の中で葉脈が波打つように生命力を感じ、プリミティブな映像にちょっとドキドキ…。
好奇心旺盛で自由奔放のエヴァ(イヴ)と寡黙で真面目なジョセフ(アダム)…そして誘惑者のサタンの化身ロベルテ(蛇)…3人の奇妙な関係をミルトンの『失楽園』になぞらえます…。
今作は映画と言うよりは、前衛的なコンテンポラリーダンスのよう…軽やかにコミカルに体全体で表現します…そして即興的な動作と、それに合わせた音の饗宴…聴覚も刺激します…。
色彩は言うまでもなく、3人の衣装も象徴的なカラー…その中でエヴァの衣装の色がくるくる変化するのも面白い…。
兎に角映像を追ってストーリーを感じ取ります…。
ロベルトの言葉巧みな誘惑にエヴァは惹き寄せられますが…彼の正体は行く先々で女性をナンパする連続殺人犯…。
一目惚れしたエヴァは彼のストーカーに…。
目紛しく押し寄せる色彩豊かな映像の洪水…
オレンジをグチャグチャに絞ってジュースを作るシーン…まるで『ひなぎく』…
風船を地面に落とさないように戯れる大人たち…
自転車で何度も何度も転ぶロベルト…
木にくるくると巻き付く長い赤い布はまるで蛇のよう…
白いドレスのエヴァがその赤い布に包まると、真っ赤なドレスに早替わり…
そして、時折カットインする動物のアップ映像…可愛らしくて脱力です…。
無邪気なエヴァの中に狂気の入り混じる道程…目と耳で愉しむ摩訶不思議な作品です…。