もりりた

すばらしき世界のもりりたのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.0
刑期を満了し出所する三上。生き別れた母を探しながら社会復帰を目指すがその経歴から思うように物事は進まない。

神経質でキレると手を付けられない一方で人当たりは良く手先は器用。無骨だけど繊細というギャップは親しみを感じ、元犯罪者というレッテルに留まらない深みが印象的だった❗️

時折見せていた危うさが密かに狂気に変わる過程が恐ろしい。本能のまま行動したシーンには何度も背筋が寒くなった。脳の萎縮の話は理解できるし、暴力を抑える本人の苦しさも伝わったが…生きるのに社会との繋がりは必要だけど、そのベースとなる相互理解の難しさを実感させられた🤔

そんな状況にありながら三上を支えた人達の温かさが身に染みた。スーパーの店長やケースワーカーとの顛末からは人の良し悪しは即断できず、些細な事で繋がりが生まれる希望を感じた。極道の妻の身を張った優しさには泣かされた…ラストで泣き叫ぶ津乃田からは自分事として喜び心配する、真の絆が出来ていたのが伝わってきた😭

殻を破り社会復帰をしていく三上、それを本にすると宣言した津乃田。彼らのその後の人生をもっと見てみたかったのでラストは唐突に感じたが…全体通して社会の冷たさと温かさ、人間の怖さと優しさという両輪が見え、辛くとも踏ん張り生き続ける意味を考えさせられる作品でした🎬
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