コマミー

雪の女王のコマミーのレビュー・感想・評価

雪の女王(1957年製作の映画)
3.6
【心が通うままに、そしてこの作品で感じとる、アニメーションの基礎】

[気まぐれ映画レビューNo.11]

※さて、今週「アナと雪の女王2」が公開されますが、ディズニープリンセスの作品には当然"原作"があります。「白雪姫」ならグリム童話、「シンデレラ」は諸説ありますが、シャルル・ペローの原作童話が元(「眠れる森の美女」もシャルル・ペロー)。「アナと雪の女王」は大きな改変はありますが、"アンデルセン童話"の「雪の女王」が原作となります。という訳でその違いを、ソ連が製作したアニメ映画で巡るとしましょう。



と前置きが長くなったが、ディズニーの「アナと雪の女王」の元になった作品がこのアンデルセン童話の「雪の女王」だ。そしてこの映画は、それを原作とした"中編アニメーション映画"だ。
シナリオは、ウォルトが製作したアニメーション作品と相違が無く、手頃な時間の作品になっている。動きも滑らかで、当時にしてはレベルが高い作品だ。

しかし、パッケージからも気づくだろうが、「アナと雪の女王」とは決定的に違う点が見受けられる。
まず姉妹が主人公ではない。少年"カイ"と少女"ゲルダ"が主人公だ。恐らく、この二人がモデルで間違いないだろう。そして問題の"雪の女王"はと言うと…、
なんと"悪役"だ。この雪の女王がカイにかけた"呪い"によって、カイの性格を変えられてしまった上に、"連れ去られてしまう"のだ。それを、ゲルダが"助けに向かう"というお話だ。

作風的には「ロミオとジュリエット」に「眠れる森の美女」を足したようなものだ。しかし、「呪いによって離ればなれになった大切な人を助けにいく」という共通点では、「アナと雪の女王」のアナとエルサに通じるものがある。
そういう点では、見ていて苦にはならなかったし、"心が通うままに突き進む"ゲルダに、心が打たれてしまった。

あの宮崎駿監督も、この作品に影響されてアニメーション業界を目指したという作品でもある。まぁ、納得である。すごい完成度が高い。
何週間か前に僕が見た、「ファンタスティック・プラネット」でもそうだが、当時のアニメーション技術があってこそ、今があるのだと確信したものだ。
少し鈍く感じるのも、ご愛嬌。ここから世界中で徐々に"変化"を遂げるのである。

それを完成させるには、カイとゲルダのように、[心を通わせながら作っていく]ものなのかもしれない。

宮崎監督も、ウォルト・ディズニーだって、そうして最高のアニメーション作品を作っていったのだ。
コマミー

コマミー