はる

バンリューの兄弟のはるのレビュー・感想・評価

バンリューの兄弟(2019年製作の映画)
3.8
貧困層が多いフランスのバンリュー(郊外)に住む、アラブ系の黒人移民の3兄弟が主人公です。

長男は麻薬取引に手をそめているが、家族思いの優しい一面を持っています。
次男は弁護士を目指す優秀な法学生。白人のブルジョワ階級の女の子といい感じになっています。
末っ子三男は思春期真っ只中のティーンエイジャー。長男がたどった道を歩みそうで母親や兄弟から心配されています。
そんな3兄弟が差別や貧困の波に抗っていました。

次男には弁論大会の最終選考が控えていて、そのテーマは「フランス郊外(バンリュー)の現状につき、政府は単独で責任を負うべきか」
この弁論大会の準備を進める次男の心境とシンクロさせながらフランス社会の分断を映し出す手法が面白かったです。

白人側の抗弁に対して、次男の抗弁は抽象的で私には分かりにくかったのが悔しいところですが、「選択の問題だ」と力強く主張する姿からは、貧困を乗り越えてここまでや来たという自信に満ちあふれているように見えて頼もしかったです。

移民を多く受け入れてきたフランスでは、暴動が度々起こっていて、参加している若者の多くは、移民を親や祖父母に持つ、この兄弟たちのような2世、3世だといわれています。
そんな移民受け入れ問題の一面を見ることが出来ました。
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