天涯孤独で、パン屋で働いた経験があることからお菓子作りに詳しくいつかお店を開きたいと夢見る料理人クッキーと、中国系移民で一攫千金を夢見るキング・ルー。
ドーナツ作りで儲けようとする2人の姿を描く開拓時代のアメリカ西部を舞台にしたストーリー。
2人の生活と人柄にほっこりしつつ後半はスリリングな、何とも不思議な西部劇だった。
私は90年代のリバイバル的な西部劇ブームを見ていた世代なんだけど。
こういう作品を観ると、白人中心でガンマンvs悪人＋一応オマケ的にネイティブ・アメリカンが登場… だったあの頃の西部劇が偏った作りだったんだなあ… ということを思い知らされる。
北米は移民の国なんだから、そりゃ当時からアジア系もいれば貧困層もいるよね。
タイトルに繋がるドーナツ作りに欠かせないミルクの出どころの牛ちゃんがとっても可愛い。見ているだけでほっこり。
ミルクを盗みつつ毎回牛ちゃんに優しい言葉をかけて好かれるクッキーの人柄にもほっこり。
そして、主人公2人の出会いを描く序盤があまりにもゆったりしたテンポで眠くなるのに対して、後半の畳み掛けてくる怒涛の展開には手に汗を握ったよ…！
ミルクを盗んでる時点で悪事を働いてはいるわけだけれど、それでも「2人とも幸せになってくれー！！」とハラハラしちゃった。
嫌みったらしい仲買商がトビー・ジョーンズなのも笑いを誘ってうまいキャスティング。
後半のハラハラの理由は、白人のクッキーと中国系移民のキング・ルーの友情は日が浅く、ビジネスも絡んでいるからこそ真の友情か分からない、どっちに転ぶか分からない… というところからもきていると思う。
2人の友情の結末やいかに… と最後の最後までハラハラ。
一見地味に見えて、設定的に仕掛けの多い面白い作品だった。
