今日の試写会は『ファースト・カウ』×Gucchi's Free School【最速試写会】 。
不思議な雰囲気の映画だったなぁ。舞台は開拓期の西部でも、アメリカ映画とは思えない。
たまに音楽は入るけど、ずーっと静か、台詞も小声。体調の悪い時なら絶対寝る(笑)。
チラシの宣伝文句「友情物語」? 2人は一攫千金を求めて来た男たちの中でも最下層の人間。かたや狩猟仲間にこき使われる食事係のコック見習いで、かたや全裸で逃げて来た中国人。友情と言うより、肩寄せあって這い上がろうとチカラを合わせているだけだろう。
同じく「おいしい話にご用心」。ドーナツにかけてうまいこと言ったつもりのキャッチフレーズだろうが、なんか作品を台無しにしてしまうようなチープな宣伝文句だ。
確かにこの映画は、宣伝が難しい作品だろう。大成功する話じゃないし、泣ける映画でもない。だからと言って、作品の本質とは違った宣伝をして、
「甘いドーナツで一攫千金」
「夢見る男たちの友情物語」
「おいしい話にご用心」
なんて言葉から連想する、明るくて軽い映画だと思って見に来たら、それは全く違う。
盗んで、逃げて、必死に小金を貯めて…
全てはファーストシーンにあるので、観客はその待ち受けるラストまでの道のりを、辛く苦しい気持ちで見届ける。
なんか芥川賞の小説みたいな、ヨーロッパ映画みたいな、不条理で虚しい読後感。
A24作品だが、2019年、4年前の作品だ。
*沖縄で硬貨の代わりに「宝貝」が使われていたのは聞いたことがあったけど、西部でも貝殻が硬貨の代わりに使われていたのね。