おれさま

タイトル、拒絶のおれさまのレビュー・感想・評価

タイトル、拒絶(2019年製作の映画)
2.8
"私の人生なんてクソみたいもんだと思うんですよね"

シンプルに胸が痛い作品。
セックスワーカーである、デリヘル嬢たちを俯瞰的描写で見守る主人公と我々。職業に対する偏見も肯定も否定も、全て何が正しいなんてない世界。映画全般も、なにがどうって答えもない。

その意味も、タイトルなんてない、主人公の言う冒頭の言葉が全て。自身はたぬき。そんな伊藤沙莉の声がリアルで良い。

今作を観たからって、見方が変わるわけでもないし、彼女たちにどんな思いが芽生えるなんてこともない。なんならそれすらも求められてないのでは。

"お前ら全員ばーーーか"

ただ、全員がプライドを持ちながら生きている。それはよくよく伝わる。言葉ではあんなこと言うけれど、そこに居なければいけない理由だってあるのかもしれない。そして、選ばなきゃいけない理由等の背景がわからないくらいの方が、リアルなのかもしれない。俯瞰的に、客観的に。

"おれクズだから。"
"じゃあ私やっぱりゴミ箱だね。"
クズをゴミ箱に入れる…。
言い得て妙な台詞回し。

どっかーーーーーーーーん。
その最後の言葉で、ケジメを。
劇団□字ックと恒松祐里、覚えておきます。

エンディングは女王蜂の『燃える海』
じわじわきてますねえ女王蜂。
昨年度、単独公演行ってまいりました。
あのジュリ扇が舞う空間。かっこ良い。
聴いたことない方々は是非、聴いてみてください。アヴちゃんの歌唱力に圧倒されると思います。
First takeの『火炎』、聴けばわかります。

"私は、カチカチ山に参ります"
おれさま

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