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きっと、またあえるの896のレビュー・感想・評価

きっと、またあえる(2019年製作の映画)
3.8
露骨に寄せてきてる邦題にはもはや触れるまいが
ボリウッドの最高到達点の一つ「きっと、うまくいく」と構成が似ていると言わざるを得ないので、どうしてもそちらと比較してしまう
そうなるとどうしても粗が見えてきやすくなるな

まあ件の作品と比べなくとも、やたらツッコミ所が多いのは事実だろう
どちらかというと腕っ節や体力より学力が物を言いそうなランクの高い大学において、盤上遊戯も網羅したいわゆる体育祭のようなイベントによってそれぞれの寮(生)の大学内の位置づけが決まるって、申し訳ないが現実味に欠けるとしか言えない
日本人の我々からしたらゼネラル・チャンピオンシップという文化が実際に存在するのかどうも定かでないわけで、作中の世界観に非常に追随しづらい

そもそも生死の境を彷徨っている息子に対し、わざわざ何人も大人を集めて昔話をしようとするところから少し戸惑いがあったけど、そこに関しては流そう

個人的に一番深刻な問題点だと感じたのは、GCを勝ち抜くために主人公たちが考案する作戦があまりに狡く、その割にディテールが雑だというところ
「それもう悪役のやることじゃん」「なんでそれが効果覿面なんだよ」みたいなツッコミが心中を飛び交って、GCを勝ち抜く様子が全く爽快じゃなかった
サッカー好きとしては、あのサッカーの勝ち方は流石に不愉快ですよ

その他にも「そうならんやろ」と言いたくなるようなシーンは散見されたけど、褒める意見も書きたいので割愛

本作最大の魅力は、やはりキャラクター
メインキャラクターとして描かれるのは主人公とその級友たちの7人で、普通これだけ多いと誰かしらの描写が薄くなって、存在感に偏りが出てしまうもの

しかし本作は2時間30以内の尺で全員を平等かつイキイキと描写し、魅力的で愛らしいキャラクターへと仕立て上げている
各々のあだ名と性格、そしてビジュアルが絶妙に噛み合っていてキャラクター紹介のシークエンスも語り口に無駄がないので「コイツはこういう奴で、こういう風に見たらいいんだ」と頭の中で情報が瞬時に整理されるのを感じた
本作を観終わる頃には、いつの間にか全員を長所も短所も含めて、愛してしまっていたね
色々文句を書き連ねてきたけど、彼らを好きになれたら本作は絶対に楽しめるし、彼らは好きになることはあまりにも簡単、だと思う

最後に
デレクはなんでハゲさせた??
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