Tully

ルディ・レイ・ムーアのTullyのネタバレレビュー・内容・結末

ルディ・レイ・ムーア(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

なんとなく見たのだけれど、思わぬ傑作だった。まるで少年漫画のような、何も考えずに前に進むことがかえって素晴らしい結果をもたらす男が 「ルディ・レイ・ムーア」 自分の苦労した少年時代からの脱却、そして追い続けたエンターテイナーの夢。それだけを原動力にここまでできるものか。自分は、石橋を叩いて渡る人間なので、絶対に何を行動するにも考え尽くしてから行動して、結果的に不安に苛まれて避けてしまう。ただ無鉄砲に突き進むだけではない。着飾らない人柄、とにかく一直線に向かう情熱的な性格。周りの人たちの気持ちを想いやる優しさ。「ルディ・レイ・ムーア」 は、無鉄砲が故の単なる偶然の産物で有名になった人ではないことが分かる。彼の人となりが、周りを変えていき、人望を作り上げ、その結果が彼の人生そのものである。勿論コメディセンスの才能もある。また、夢にかける情熱ということに関して 「スタンダップコメディ」 や 「ブラックスプロイテーション」 的な映画のシーンが映画好きにとっては最高すぎる。まるで 「トミー・ウィゾー」 も 「ルディ・レイ・ムーア」 も少年のような人となり。だからこそ、純粋に夢を追い続けられる。バカバカしい映画でも、それを一種の表現方法として認めてきてはいるが、やはり、娯楽映画はオーディエンスの反応やニーズこそ命だと思うし、それもまた自己表現。それによって生まれた 「ジャンル映画」 や「カルト映画」 、「Z級映画」 たちはとても素晴らしいと思う。終盤で少年に語りかけるシーンで涙腺崩壊。涙が溢れた。このワンシーンで、彼の優しさというか、少年時代の苦労が滲み出てくる。「なりたいものになれ。誰にも邪魔させるな。」 素晴らしい。「エディ・マーフィー」 を久しぶりに見た印象。それに 「ウェズリー・スナイプス」 最高だね。「スヌープ・ドック」 も 「クリス・ロック」 も 「キーガン=マイケル・キー」 も最高。キャスト豪華すぎてヤバい。それに、70sのブラックカルチャーの世界観が最高に良い。ヒッピーとアフロとブラックミュージックも最高だった。
Tully

Tully