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ペインティングプールのkyokoのレビュー・感想・評価

ペインティングプール(2013年製作の映画)
4.2
東京イラン映画祭ではこれがダントツに良かった(っていっても7作品のうち3作品のみの鑑賞だけど)。

製薬会社の梱包部門で働くレザー(アーミル・カーンに激似)とマリアム(どこか鈴木杏樹っぽくてとっっってもかわいい)はともに知的障害を持つ夫婦。ふたりの間には10歳の息子ソヘイル(だったかな)がいる。ソヘイルの知能はとうに親を追い越してしまい、極度に恐がりで料理も覚えられない母や一緒にアニメを楽しむ子どものような父に対して、徐々に違和感や恥じる気持ちを抱くように。まあそれは仕方ないよね……
ある日つい母親にいらだちをぶつけた息子に父は手を上げてしまい、ソヘイルは友だちの家に行ったきり帰ってこなくなってしまった。

息子のために、自分たちができること、できないこと、それでも今しなくてはならないことを懸命に考える夫婦は、決して足並みが揃っているとは言えない。ときおり気持ちがすれ違いながらも、レザーは家長として父親として家族と向き合おうとし、マリアムは自分の恐怖心を克服することで母親として成長しようとする。

いくらでも感動的に盛り上げられそうなのに、あえて大げさにせず、穏やかに迎えたラストが印象的だった。

決して感動ポルノではない。
親が子を慈しむ幸せ。親から慈しまれる子の幸せ。
ただそれだけをシンプルに伝える映画。
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