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完全な候補者のkyokoのレビュー・感想・評価

完全な候補者(2019年製作の映画)
3.5
ニカブをつけた女性が車を運転している。
世界で唯一女性による車の運転が許されていなかったサウジアラビアだけど、昨年ようやく解禁になった。ということは、私にとって女性が車を運転するシーンが出てくるサウジ映画はこれが初ということになる。
同監督の「少女は自転車に乗って」から5年、自転車すら乗れなかったサウジの女性が颯爽と車を運転しているとは。

ひょんなことから市議会議員選挙に立候補することになった女医マリアムは、医師としての能力も高く上昇志向もある。常につきまとう女性蔑視に負けない強さもあるけれど、急に突っ走ったりするのでどこかアンバランス。むしろカメラマンの妹のほうに聡明さを感じた。

ウード奏者である父親のツアー場面は、この国が抱える別の問題を映しだしていて、変に緊張してしまった。やっぱり音楽は平和の象徴でなくちゃね。別々に座っているとはいえ、男も女も一様に盛りあがっているのが良かった。

女性蔑視の文化はちょっとやそっとじゃ変わらない。その現実を突きつけつつも、女は寄るな触るなと大騒ぎしていたじいさんとのラストのやりとりにこの国の未来への希望が込められていた。少し甘甘すぎな印象だけどね。でもグッときたなー。
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