GreenT

ウェイティング・バーバリアンズ 帝国の黄昏のGreenTのレビュー・感想・評価

3.0
背景が架空の街なので説明しづらいなあ。

街は砂漠のど真ん中にあり、高い城壁・門で守られているんだけど、そこで平和に暮らしている人たちは中東系の人たちに見える。そこを治めているのは白人の兵隊のような人たち。

“Magistrate” と呼ばれ、名前も出てこない初老の男性(マーク・ライランス)がここの統治者であるようなのだが、彼は地元民と同じ服を着て、住民とも仲が良く、尊敬もされている。考古学が好きみたいで、発掘をしては発見したものをちまちま整理している。

この設定が、どこなんだか解らなくて混乱しました。城壁の街は中世のヨーロッパのようだけど、砂漠だし、地元民は中東系に見えるから、白人が中東を攻めた?でも砂漠に住む人たちはアメリカン・インディアンのように見える。アメリカのニュー・メキシコとかなのかな?架空の街にするのは構わないけど、架空なりの説明がなされないと、いつまでも気になってそのせいで物語に没頭できない。

Magistrate がウィキでは「民政官」と訳されていたが、尊敬されているニュアンスがないので「お奉行様」の方がピンとくる。

城壁の外に住むアジア/ネイティブ・アメリカンのような見た目の人たちのことをお奉行様は「ノマド民」と呼び、刺激しなければただ通り過ぎて行くだけの流浪の民と思っていて、barbarians(野蛮人)と呼んで「警戒しないといけないのでは」と言う人を一笑に付す。

お奉行様はもういい年だし、中央政府のある都に帰る気もない。地元民のと安穏とした生活が好きで、このまま平和に暮らしたい。

ところが中央政府は、残虐な性質を持つジョル大佐(ジョニー・デップ)を送り込んでくる。ジョル大佐は野蛮人を捕まえては拷問するようになり、お奉行様は難しい立場に立たされる。

ジョル大佐はこの街の状況を報告するために中央に帰り、また平穏な生活が戻ってきたと思いきや、ジョル大佐に拷問され、足首を折られたノマド民の女性が街で物乞いをしていた。お奉行様はこの娘を手厚く介護するが、部下や奉公人たちは、お奉行様がこの娘を妾にしたと思っている。

このノマド民の娘との関係が良くわからん。傷ついた足を洗ってやっている最中に寝てしまうお奉行様。それを見てクスッと笑う娘。???

どうやら一緒のベッドに寝ているようなので、性的関係もあるようなのだが、そこは良くわからない。妾と言うが、そもそも結婚もしてないし、このお奉行様。

で、どうやらお奉行様はこの娘に本気で恋をしてしまったようなのだが、彼女は自分の部族に帰りたいと言うので、お奉行様は彼女の部族を見つけるために数人の兵隊を連れて砂漠に入っていく。

お前、街を治めているのに勝手に離れていいのかよ?って思ったらやっぱり良くなくて(笑)、帰ってきたらジョル大佐の部下マンデル准尉(ロバート・パティンソン)が街を治めていた。

ってことで最後の1/3くらいしか出てきません、ロバート・パティンソン。この人とジョニデは悪役なんだけど、パティンソンの方がハマってた。すっごい残虐な、血も涙もない軍人が似合ってたなあ。ジョニデは、変なサングラスをかけて、ちょっとファンタジーなキャラにしちゃったところがなんかあざとい感じしちゃった。

で、お奉行様は裏切り者として地位を剥奪され、ホームレスとして街に住んでいたんだけど、ジョル大佐がノマド民に戦争を仕掛けに砂漠に行ったらコテンパにやられて、中央から来た兵隊はみんな怖がって逃げてしまう。

街をボロボロにされた挙げ句、ノマド民は復讐のために「野蛮人」と化してお奉行様の街を攻めてくるところで映画は終わる。

すいません、全部説明しちゃって。本当にこれだけの映画なんです。お奉行様を演じるマーク・ライランスは「侵略者でありながら地元に根付いてしまう心優しい人」の苦悩を上手に演じていたし、面白くなりそうな話なのですが、なんだかピンと来ない。

ハリウッドっぽくない、ヨーロッパ映画的な、歴史物?そういうのOKな人には響くのかも。
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