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異端の鳥のkazu1961のレビュー・感想・評価

異端の鳥(2019年製作の映画)
3.9
▪️JPTitle :「異端の鳥」
ORTitle:「The Painted Bird」
▪️First Release Year : 2019
▪️JP Release Date : 2020/10/09
▪️Production Country : チェコ・スロバキア・ウクライナ
🏆Main Awards : ※※※
▪️Appreciation Record : 2022-134
🕰Running Time : 169分
▪️Director : ヴァーツラフ・マルホウル
▪️Writer : ヴァーツラフ・マルホウル
▪️MusicD : パヴェル・レイホレツ
▪️Cast : ペトル・コトラール、ステラン・スカルスガルド、ハーヴェイ・カイテル、ジュリアン・サンズ、バリー・ペッパー
▪️Review
なかなかハードな作品でした。観終わった後にはグッタリと。。。ホロコーストから逃れた少年がたどる過酷な物語。ドイツ軍に襲われ、男性に性的虐待を受け、さらに女性にも性的虐待を受ける。暴力、児童虐待、性的虐待、動物虐待、ありとあらゆる種類のエッと思う描写が、しかも生々しい演出で積み重ねられていきます。
この作品から伝わってくるのは『人間の本能の恐ろしさ』、『異質なものの排除』、『リアルな痛み』、そして『沈黙』。それらも静に近い少ない台詞とモノクロの美しい構図との対比で見事に描いています。本作のジャケットにも使われている写真、の中に首まで埋められた少年と、彼の目の前にいるカラスという構図。この後にどんな運命が彼を襲うのかが見事に暗示されている写真です。

本作、第二次大戦中、ナチスのホロコーストから逃れるために、たった一人で田舎に疎開した少年が差別と迫害に抗い、想像を絶する大自然と格闘しながら強く生き抜く姿と、異物である少年を徹底的に攻撃する“普通の人々”を赤裸々に描いた本作は、ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で上映されると、少年の置かれた過酷な状況が賛否を呼び、途中退場者が続出。しかし、同時に10分間のスタンディングオベーションを受け、ユニセフ賞を受賞し、同映画祭屈指の話題作となりました(参考:公式HP)

原作は自身もホロコーストの生き残りであるポーランドの作家イェジー・コシンスキが1965年に発表した代表作「ペインティッド・バード」。チェコ出身のヴァーツラフ・マルホウル監督は主演のペトル・コトラールが自然に成長していく様を描く為、撮影に2年を費やし、最終的に計11年もの歳月をかけて映像化したんですね。さらに舞台となる国や場所を特定されないように使用される言語は、人工言語「スラヴィック・エスペラント語」が採用されています。
迫害を生き抜くうちに徐々に心を失っていく少年を体当たりで演じ切ったのは、新人のペトル・コトラール、凄い演技力です。他にもステラン・スカルスガルド、ハーヴェイ・カイテル、ジュリアン・サンズ、バリー・ペッパー、ウド・キアーなどの名優たちが共演しています。

物語は。。。
東欧のどこか。ホロコーストを逃れて疎開した少年は、預かり先である一人暮らしの老婆が病死した上に火事で家が消失したことで、身寄りをなくし一人で旅に出ることになってしまいます。行く先々で彼を異物とみなす周囲の人間たちの酷い仕打ちに遭いながらも、彼はなんとか生き延びようと必死でもがき続けるのですが。。。

▪️Overview (映画. comより)
ナチスのホロコーストから逃れるために田舎に疎開した少年が差別に抗いながら強く生き抜く姿と、ごく普通の人々が異物である少年を徹底的に攻撃する姿を描き、第76回ベネチア国際映画祭でユニセフ賞を受賞した作品。ポーランドの作家イェジー・コシンスキが1965年に発表した同名小説を原作に、チェコ出身のバーツラフ・マルホウル監督が11年の歳月をかけて映像化した。東欧のどこか。ホロコーストを逃れて疎開した少年は、預かり先である1人暮らしの叔母が病死して行き場を失い、たった1人で旅に出ることに。行く先々で彼を異物とみなす人間たちからひどい仕打ちを受けながらも、なんとか生き延びようと必死でもがき続けるが……。新人俳優ペトル・コラールが主演を務め、ステラン・スカルスガルド、ハーベイ・カイテルらベテラン俳優陣が脇を固める。2019年・第32回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門では「ペインテッド・バード」のタイトルで上映。
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