ブラウンソースハンバーグ師匠

I Am Easy To Find(原題)のブラウンソースハンバーグ師匠のレビュー・感想・評価

I Am Easy To Find(原題)(2019年製作の映画)
-
まさに監督がテーマとしている、ナショナルとの「相互理解」によって生まれた素晴らしい作品だ。ナショナルのアルバムの方も無論、素晴らしい。

ある女性の一生を、一人の女優の身体で視覚的に表現する。それが「子供」と「大人」という区分けを取り除き、「個人」として同一視させる仕掛けとなっている。

人物の一生を見せる上では必ず味つけとなるであろう、カルチャー(音楽とか小説)やコルクボードいっぱいの写真やらが一切登場しない。映像に映る小道具も必要最低限といった感じで、さっぱりしている。その分、出会う人々の方に焦点が絞られている印象。

結婚について母と揉めたとき「初めて本当の自分になれた」と主人公は感じている。
私だったら、母を言い負かしたことで「自立」の片鱗を感じ、そのまま不良ロードを突っ走ってしまいそうだし、現に私は不良だ。(実際は言い負かされたし)
「日本人は~」という大きな言葉を使うでもなく、私自身、衝突することも感情を発露することも苦手だ。
それは、相手と揉めることで発生する「論破」という磁場が怖いからだ。本来、会話というのは目先の結果に捕らわれるべきではないはずだ。
主人公のように衝突によって得られる清々しさが羨ましいと思った。