トールキン

生きるのトールキンのレビュー・感想・評価

生きる(1952年製作の映画)
4.2
ビル・ナイ主演のリメイク版を鑑賞後、黒澤明監督作品のオリジナル版をやっと鑑賞。人生初の黒澤映画。そして日本のモノクロ映画をまともに見るのも何気に初めてかもしれない。

リメイク版は100分程度、こちらは140分と割と長め。正直、中盤くらいまで間延び感が若干感じられたかなって思ったけど終盤はずっと見入っていた。ラストの葬儀でのシーンはこの作品の心髄とも言える見せ場。皮肉たっぷりと言うか風刺的なやり取りでとにかく醜い描写の連続なんだけど実際でも当てはまる。見たことある方なら分かってくれるはず。遺族の前でそんな話するなよってめちゃくちゃ思いながら見てた。
これまで死んだように生きてきた人が余命を宣告されて死ぬ気になって生きる。自分のやるべきことに情熱を注ぐ、一生懸命生きる、とは正にこういうことだなって思える。でも普段日常からそういった姿勢で生きるってまず難しい。結局人間って毎日何気無く、言ってみればダラダラ生きていてそれが当たり前の日常になっている。(もちろんそれは悪いことでは決してないが)
誰だってめんどくさいことは避けたいし、なるべくやりたくない。でも自分のやるべきことは責務としてしっかりとやり遂げる。それは自分のため、他人のため、世の中のため。きれいごとに過ぎないけどそれも「生きる」ということ、「生き方」の一つかもしれない。
そして、ラストカットは結局、人間というものは・・・みたいな良くも悪くも複雑な思いを抱えてしまう。

両方見た結果、どちらの方が良かったとか比べるつもりはないしどちらもそれぞれ良い。どちらも内容としてはめちゃくちゃ考えさせられる部分が強いので両方見ても損は無いし個人的には両方見るのを強くオススメしたい。
トールキン

トールキン