このレビューはネタバレを含みます
「MI5の調べではミッチェル卿は共産主義者で、スパイだった可能性がある。妙なのは母さんも疑われてることだ。笑えるよね。だろ?」
ソ連に核兵器の情報を流したイギリスの女スパイの話。モデルとなっているのは実在のスパイ、メリタ・ノーウッド。
彼女がソ連に核兵器の情報を流すきっかけになっていたのが広島だったとは…。確かに開発者としてはあの凄惨な情報聞いたら止めたくもなる。西側の暴走を止めるため、東側にも対等な武器を持たせたというのは意外な論理だった。しかし現に80年弱核戦争は起きてないので、結果的に正解だったのかもしれない。
後半でジョーンがレオを映画館でフッた後、レオが部屋で死んでるのを見つけるシーンはキツかったな…。
マックス教授との不倫&プロポーズは物語におけるピュアな部分でとても良かった。刑務所でジョーンが自分の罪を告白するところが好き。
最後、あれだけ母親を糾弾してた息子が弁護についてくれたのも熱い。
序盤が退屈すぎたのでもう少し展開があればなぁ。スパイものというとどうしてもその辺を期待してしまう。尾行をランジェリーショップで撒くとか、カバンの生理用品の近くに重要なものを隠しておいて男性捜査官を怯ませるとか、女性ならではのやり方は面白かった。
以下、セリフメモ。
「ジョーン・スタンリーですね。公安秘密法違反で逮捕する」
「大学の時、共産主義者の集会や映画の会に?」
「質問だ。もし全世界が破滅の危機を迎えたら、何を守る?」
「おバカさんね。"まず愛がないと"ですって?レオからの告白を待ってたら死ぬまで処女よ」
「君は強い女性だ。全て終わったら一緒になれる」
「1940年、ソニアはスイスへ行き、レオはマン島れ監禁された」
「だから科学の知識が必要だと伝えてたんだ。顔じゃなくね。…君の美人じゃないと言ってるわけじゃない」
「原爆だ。開発競争でドイツに負けたら戦争にも負ける」
「ソ連が参戦した時、チャーチルは"技術を共有する“と約束を。だが口だけだった。…資料が欲しい」
「研究結果を盗み出せと言ってるの?断固お断り!」
「あなたの不倫を彼が知ったら…。長旅でしょ?船で何をするの。セックスしかないわ」
「ずっと愛してた。"美人じゃない"と言った時からね。だが妻は離婚を拒むだろう。君との関係が不倫になるのは嫌だ。幸せを願う」
「ウンザリよ。あなたのキスには毒がある。都合よく振り回さないで」
「スターリンに原爆は渡せん」
「そんなに怖がらなくても平気よ。女が疑われるわけない」
「尾行を感じたらランジェリーの店に入って。男は入れないわ」
「お母さんがやったんだね。なぜ?よくも…」
「MI5から連絡が入った。ジョーンと私がカナダで共に研究したキエルが──ソ連のスパイだった。原爆開発を助ける情報を大量に提供していた」
「僕はKGBだ。疑わないならMI5はバカだ」
「(このお守りには)毒がついてる。ひじの内側を刺せ」
「お願いがあるの。裁判になったら弁護を担当してくれない?」
「世界を救いたくて、国家機密を残忍な独裁者に?」
「私の信念は?科学への情熱が汚されたわ!」
「一つ聞くよ。父さんはどこまで知ってた?」
「ENOUGH(大筋よ)」
「ウィリアム、私、彼(レオ)に言っちゃったの。"愛はなかった"って。そしたら死んじゃったの」
「妻に離婚を申し出た。愛してると言ってくれ。同じ気持ちだと信じたい」
「マックス。警察がここ(研究所)にき 来たわ」
「ここが漏洩元らしい。あんなに遅れてたソ連が核実験を始めた!全てを捧げた研究が盗まれた!」
「ひどいわ!あの時代を知りもしないで。戦争に次ぐ戦争…。負の連鎖を止めたかったの。主義主張は関係ない!」
「祖国のことは愛してたわ!怖くてたまらなかったけど平和のために戦ったの。東西それぞれが大量破壊兵器を持てばどちらも使えない。現に世界は変わった。結果としてこの50年核戦争は起きていない。私は500万人の命を救ったの!」
(逮捕されたマックスに対して)
「私なの。例の秘密を漏らしたのは…。ごめんなさい。全て自供するわ。原爆よ」
「なぜだ!」
「ヒロシマの映像を見てしまったから…」
「レオの息子だ」
「母親はソニア?」
「ああ」
「私はスパイではありません。祖国に危害を与えることは望みません。ただソ連に西側と同じ力を与えたかったのです。皆が同じ知識を持てば、恐ろしい世界大戦が再び起きるのを防げる。時が経てば私が正しかったと分かるわ」
「今後の質問は私を通してください。私は彼女の弁護士であり、息子です」