1939年に南アフリカの黒人低賃金労働者が吹き込んだ歌が後に "The Lion Sleeps Tonight" (ライオンは寝ている)として世界的ポピュラーソングとなるが、本人やその妻や娘たちには一銭も入ることなく、娘たちは今も南アフリカのスラムに暮らしていた。
これはその娘たちに正当な支払いがあるべきとして立ち上がった南アフリカ育ちの白人ジャーナリストのドキュメンタリー。
文字通りの白人による黒人文化の cultural appropriation に対する闘いの話として始まり、途中を端折れば、子孫の法的な権利を認めよという訴訟は一見美しい完全勝利に終わるのだが、この映画の本質はこの先の展開だった。
金が動くところ、やっぱり揉め事ってのはつきもので、そういうところでつい可視化してしまう人の本音。長年続けられた人種差別が残した相互不信の根は深い、というげんなりする事実を改めて突きつけてくるのであった。
ネトフリの掘り出し物。