Damian

燃ゆる女の肖像のDamianのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
3.9
その時代と、その場所と、そこで生きる女性以外は全て排除されたようなとても純度の高い作品だった。
劇中で使われる2曲以外はほぼ無音、しかもその2曲のパンチが凄まじく、美しくも儚い情景とともに帰り道も残像が残り続ける。

カメラワーク含め必要以上の抑揚を抑えつつも、主観的な視点と客観的な視点の巧みな切り替えはまさに絵画を生み出す工程を見ているようだった。

クライマックス、涙を流しながら笑いを浮かべるエロイーズ。
決して結ばれることのない悲恋を嘆き、感傷に浸っていた我々は思わず動揺する。
めちゃくちゃ煽ってくるビバルディの夏と相まって、決して消費されまいと自分の人生を肯定する姿に思わずハッとする。
これが本当の火を知る女の生き様か。
Damian

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